コイ、つくし、ちょう
先週末、息子さんが初節句を迎える友人の家へ遊びに出かけたときのこと。思いがけず、最近ではめっきり見かけなくなった、この季節の風物詩を堪能することができました。
「子どもをのびのび遊ばせたい」という考えで、少し田舎に家をかまえた友人。学生時代は、特に伝統を重んじるタイプではなかったものの、子どもの行事となれば話は別ということで(笑)、庭に大きな鯉のぼりが飾ってありました。
最近は、マンションなどでも楽しめるよう、ベランダや室内タイプの鯉のぼりが多いそうですが、青空を悠々と泳ぐ鯉のぼりは、やはり迫力がありました。赤ちゃんを代わる代わる抱っこしながら「屋根より高い鯉のぼり~」と口ずさみ、しばし童心にかえりました。
そのとき。ふと足元に目をやると、つくしが顔をのぞかせているではありませんか。これもまた久しぶり、と感動して眺めていると、モンシロチョウがすぐそばまで飛んできました。それはとても美しい春のシーンで、今思い出しても微笑んでしまうほどです。

大学進学のため上京して以来、“都会至上主義”だった私。若者らしいとも言えますが、人気のある地域に住み、便利で刺激の多い生活を送ることが楽しくて仕方がありませんでした。都会暮らしに疲れたら、郊外に出かけてリフレッシュすれば十分だと思い過ごしてきましたが、友人のもとを訪ねてから、少し考えさせられています。
春には春の、夏には夏の美しい風景を当たり前のように目にし、季節の移り変わりを身近に感じ取りながら、庭や田んぼで走り回る。そうして元気に育つ子どもは、現代人に欠けている心の豊かさや余裕、潤いのようなものを自然に身に付けていくのではないか・・・。“人間らしさ”を求めるならば、利便性や情報量に勝る都会の魅力は、後から知れば十分なのではないか・・・。
「家庭を持つのも子どもを育てるのも、絶対都会!」と決めていた理由が、ひょっとすると、あまり大切なものではないかもしれない。友人の生活に触れただけで、自分のライフスタイルを考え直すのは単純かもしれませんが、若い頃の理想に固執する必要はないと教わった気がするのです。きっと、「コイ」と「つくし」それに「ちょう」が、固まった考えを優しくほぐしてくれたのかもしれません。
