新・エコノミックアニマル
ある晩、夕食後に夫がふとつぶやきました。「なんだか疲れが取れないな。しっかり眠っているはずなのに」。深刻化する不況の折、仕事が忙しいのはありがたいことですが、やはり体が資本。内側から元気になってもらおうと、翌日はわが家の定番“癒しメニュー”、『野菜のごった煮』をつくることに。
冷蔵庫にある野菜という野菜を鍋に入れ、煮込むだけの簡単料理ですが、これがなかなか疲労回復に効くのです。かつおだし風味、みそ味、コンソメ味と味付けも選びません。今回はあっさりだし風味。野菜をたっぷり食べて少しホッとできたのか、テレビを見ながら会話がはずみました。
「疲れが取れない」といえば、この大型連休中、高速道路の渋滞に巻き込まれてしまったお父さんたちも同じではないでしょうか。利用料金の引き下げで交通費が安く済んだ一方、思わぬ“長時間労働”を強いられてしまい、悲喜こもごもの休暇だった人がきっと多いのでは・・・。
ところで、生活対策として打ち出された今回の料金引き下げには、エコの観点から少し違和感を覚えました。たしか1年前の今頃は、北海道洞爺湖サミットを控えて、温暖化防止や省エネ対策の促進が声高に叫ばれていましたね。家庭ですぐにできることとして、自転車や公共交通機関の利用も見直されていた時期だったと思います。
ここまでのところ、高速道路料金の引き下げは、温室効果ガスの削減には負の効果を生んでいるような気がします。しかし、“支援”として与えられるやいなや、エコはそっちのけで飛びついてしまいました。結局、自分自身にゆとりがないと他者には優しくなれないのかもしれない。そう気付かされ、なんだか情けない気持ちになったのです。
誰にでも守らなければならない生活があり、そのために経済が重視されるのは、ごく自然なことです。しかし、こうした対策をミーハー的に歓迎ばかりしている姿は、他の動物の目にはいわば“エコノミックアニマル”に映るのでは・・・。
高度経済成長期からバブル期にかけての日本人の経済活動を皮肉ったとされるこの言葉。今、意味を少し変えて、わたしたち人間全体の本質を問い正している気がします。「そんなに打算的、利己的で後悔しないの?」と。

