Builder’s Voice 工務店・ガラス店の声

ガラス屋さんはいつも生まれ変わっていかなければ(前編)

中西繁樹(なかにし・しげき)
1965年生まれ。(有)旭建硝 代表取締役。
小学5年より「小遣い稼ぎ」として家業に携わる。30才で代表取締役に就任。 本業の他、「地球温暖化対策地域協議会 窓から環境を考える会」副会長として、地域の環境イベントの主催、全国各地の省エネリフォームセミナーでの講演等、さまざまなエコリフォーム普及活動にも取り組む。特技はコンピュータープログラミング。


「窓屋さん」が「リフォーム屋さん」に変わる時期に代替わり

――お仕事のキャリアはどれくらいですか。

ご近所の割れ換えなどは小学生から手伝っていて。15年前、創業者である父が引退して代替わりしました。
継ぐことに抵抗はありましたよ。コンピュータープログラマーになりたい思いもあって、大学卒業後10年間は会社を手伝いながらも悩みどおし。
業を煮やした父が、かねてから予告していた通りに65才の誕生日で引退すると同時に旅に出て(笑)腹をくくらされ、初めて「商売の本当」を突きつけられました。

――「商売の本当」とは?

お客さんをつかまえてくることですね。それを全然教わっていなかったんです。
バブルが終わってどんどん仕事が減ってしまった。でもできるのはガラスのことだけですから、やらなければ生活できない。

ちょうどそんな時、スペーシアを始めとするリフォーム商品が出始めたのです。

――リフォームブームの到来ですね。どんな変化が起こったのでしょうか。

ガラス業界に新しい市場ができた、ということだと思います。
建築屋さん相手の「窓屋さん」が、一般消費者が顧客の「リフォーム屋さん」と同じ土俵に立った。それはまったく新しい販売チャネルでした。本当に恵まれていたんです。


集客ツールは「お客さま目線」のホームページ

旭建硝のHP『いいまど.jp』。かわいいイラストをちりばめ、サービスメニューは結露・防犯・防音など「お悩み別」に表示する、お客さま目線のサイトだ。

旭建硝のHP『いいまど.jp』。かわいいイラストをちりばめ、サービスメニューは結露・防犯・防音など「お悩み別」に表示する、お客さま目線のサイトだ。

顧客データや工事スケジュールの管理もすべてパソコンで行う。問い合わせのメールも時系列でデータベース内に保存され「お客さんとのやりとりがいつでも確認できます」

顧客データや工事スケジュールの管理もすべてパソコンで行う。問い合わせのメールも時系列でデータベース内に保存され「お客さんとのやりとりがいつでも確認できます」

――手探りの独り立ちから15年。今ではインターネットを駆使し、月50件の案件をこなしておられます。

チラシのポスティングはせず、集客はホームページ(HP)からです。
当初はプロ向けにガラスの機能ばかり載せたHPをつくっていました。でもお客さんからの問い合わせは全然なくて(笑)いよいよ仕事がなくなった。
そのとき妻が「HPは、窓のことで困って検索するお客さんに向けたものでなければダメだ」と言ったんです。

――それで、かわいいイラストが入った親しみやすい今のHPに方向転換を?

そうです。知り合いの美大生にいくつかイラストを描いてもらい、駅前のスーパーに立って、顧客イメージに近い家族連れに「ガラス屋のHPをつくるんですが、どれがいいですか」って見せて歩いたんですよ。必死でした。そこで一番人気があったのが、今のHPの絵柄です。

見た目から内容まで妻の意見通りに「お客さんの目線」」でHPをつくり直してからですよ、仕事依頼のメールや電話が来るようになったのは。

――インターネット活用のメリットは何でしょう。

僕の場合は、まず自分の好きなパソコンで、チラシの印刷代をかけずに集客ができることでしょうね。
それに加えて、お客さんの広がりがあること。そこから異業種同士の横のつながりに展開したりもしています。

――反対に、悩みもあるのでは?

実は、工事量が多いとか高額商品を買ってくれる「大事にしたいお客さん」のメールほど、午後11時から午前2時に集中するんですよ。
その人たちが翌朝家を出るまでに返信したいと思うので、ほぼ24時間営業(笑)睡眠はめちゃくちゃです。でも、これは外せないですね。

また、身元を明かさず不条理なメールを送ってくる人もいます。そんな相手でも、対応しないと掲示板で悪い評判を立てられるかもしれないので、きちんと返信しています。


「省エネ性能が数値で示せる」エコガラスをメインの武器に

――エコガラスをお仕事のメインに据えたいきさつを聞かせてください。

2004年に知り合いからNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の省エネ住宅に関する補助事業について聞いたのがきっかけです。


間取りや空間のリフォームと違って、開口部リフォームは「性能のリフォーム」。だから数字で表せなくちゃいけないと思うんですよ。
エコガラスは省エネの観点から定量的客観的に性能を示せる。それをNEDOという独立行政法人が認めて国の「お墨付き」を出す。「これはすごいことだ」と思いました。


ここで一気に、それまでのガラスリフォームから、現在メインのエコガラスによるエコリフォームへとシフトしたんです。


取材・文:二階幸恵
撮影:中谷正人
有限会社旭建硝
有限会社旭建硝 東京都練馬区
社員数 4名
ガラス・窓の修理/開口部リフォーム/エクステリア工事 等

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