U邸の室内環境を支えるのが、窓まわりの最新技術「エコガラス」と「光触媒」です。
採光+空の風景を取り込む役割を担う大窓は、どちらもFIX(西面は上部)のエコガラス。とくに西日についてはUさん(夫)が自ら研究し「遮熱タイプのエコガラス以外はつけたくない」とおっしゃったそうです。
この意向に従い、南と西の主だった窓は遮熱エコガラスに、さらに予算とのバランスも考慮してFIXの形に。

エコガラス+光触媒を採用したFIXの大窓は、熱の遮断効果に加えてメンテナンスフリー。
断熱効果は、12月の住まい始めからすぐ現れました。
雪の日も含めて使う暖房機器は毎朝1時間ほどの床暖のみ、オール電化にもかかわらずひと月の電気料金は11000円程度。「寒さもすきま風も結露もなくて、本当にすごい(Uさん)」
一方、FIX窓は掃除が気になりますが、こちらは「新築時は思ったほど費用はかかりません」と関本さんが語る、光触媒の採用で解決しました。
何度か経験した豪雨でその効果がよく見えたそうです。他の窓に砂まじりの雨あとが残るときも、光触媒を使った窓は「きれいでした」。
Uさんいわく「他を削ってもここにはお金かけよう、と選んだのがこのガラス。うちにとっては宝です」
関本さんも「いわゆるローコスト住宅でこれだけハイスペックの窓をつけられたことは、これから家をつくろうとする人に勇気を与えますよね」
通風も問題ありません。掃き出し窓から東西の軸線沿いに流れる風に加え「キッチン脇の窓からもよく風が通ります」とUさん。
「やり方次第で、どこもかしこも開ける必要はないんですね。開閉機構はそれなりのコストになるので、必要がないところはFIXを提案しました(関本さん)」。メリハリある開口計画がここにも見られます。
「高価だから無理」と思いがちなエコガラスや光触媒、掃除が大変そうなFIX窓も、全体のバランスや最新技術を上手に取り入れる意識を持つことで、思った以上に気軽に使えて快適さが何倍にもなる。
ローコスト住宅・U邸の高性能な窓は、そう教えてくれているようでした。

1階居室の南面には1195mm角の遮熱エコガラス窓。庇を持たないU邸が受ける直射日光の熱を遮断し、光だけを取り込む。

上部FIX窓からは十分な光、ヒーター脇のすべり出し窓からは新鮮な外気が流れ込むキッチン。窓はどちらも遮熱エコガラス。
住まい手と設計者の共同作業である家づくり。加えてU邸で特筆されるのは、プロのデザイナーとして確立した価値観と感性、さらには「住まいをデザインすること」に対する強い責任意識を住まい手が持っていたことでしょう。
ほぼ1年にわたる家づくりでは、互いの意見の擦り合わせに時間がかかったこともしばしば。しかし関本さんは言います。
「Uさんのセンスを信じてゆだねた部分もありました。設計者としてこれはそうそうないことです。でもおふたりはわかって言っておられるから(笑)」
建具や扉をほとんどつけないのも、コストダウンを考えた住まい手からの提案でした。とくに収納の扉を取ることは「見せる収納といっても、実際は残念なことも多くて...(笑)」と設計者の心配の種に。
しかし「なんとかできそうだから取っちゃってください、と言いました」とUさん。その言葉に嘘はなく、ディスプレイのように美しい使いこなしは住み始めて半年を過ぎた今も変わりません。とりすました感じや無理している様子もなく、好きな暮らし方を実現しようとする住まい手の意志だけが自然な光を放っています。

「ショップのような素材感が好きです」Uさんの言葉通り、ライブラリスペースの棚も軽やかに使いこなされている。
「Uさんの暮らし方自体は、以前から変わっていないと思うんです。ただ、前の家はそのスタイルに合っていなかった。そういう意味で、この家ではストレスフリーにやってらっしゃる気がします(関本さん)」
故郷のような新築の家。そんな不思議な言葉が、ふと思い浮かびました。
取材・文:二階幸恵
撮影:渡辺洋司(わたなべスタジオ)
今月の家を手がけた建築家:
関本竜太(リオタデザイン)
取材企画協力:OZONE家づくりサポート
<建築家選びから住宅の完成までをコーディネートする機関です>

Uさん(右)と関本さん(中央)。互いを信頼・尊重しながらの打合せの日々は「めちゃくちゃ楽しい時間(Uさん)」だったそう。終始笑い声の絶えない取材となった。
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