スタイリッシュで使い勝手も重視した石橋邸。さらにドア部分にはダブルで鍵をとりつけ、防犯にも配慮。しかも下のサブの鍵は外からしか開かないようになっています。
「泥棒は小窓から侵入して、玄関から挨拶をしてでていくもの。このように、外からしか開かない鍵があるところは、泥棒の出口がありません。たいていの泥棒は下見をしますから、このような仕掛けの家は敬遠します」と石橋様。ちょっとしたことに暮らしやすさと安全を共存させるヒントがあるのです。
2階の天井を高くとるために、1階の床を通常よりも低い位置にしています。つまり土台の位置が低くなっているのです。それは、町並みを守るための高さ制限を遵守するためには必須のことですが、決してネガティブなことではないのです。
重心が低くなるため、地震に際しても揺れにくいというメリットがあるのです。あることをかなえるためにほかを犠牲にするのではなく、さらにほかの良さも実現させるのは、さすがプロだと感心します。
石橋邸はこの地にあった古い昭和家屋を建て替えて、2年前に竣工したもの。
「古い家に長く住んでいたので、住まいはこういうものだ」ということが知らず知らずのうちにしみこんでいたんです」と奥様。
それが新築を機に、住まいにとって必要な物を考え直して、いまのようなシンプルでメリハリのある間取りになったそうです。さらに、持ち物を整理して、ライフスタイルを見直し、不要な物やこれから使わない物は極力手放し、生活用品も最低限のものにスリム化を図りました。
特に大きな変化は、本を処分したこと。いままでは自宅でお仕事をすることもあったというお二人ですが、新築を機に、仕事を極力自宅に持ち込まなくなったと言います。
現在、仕事を終えて帰宅したあとお二人は「ゆったりと大好きなワインを楽しむこと」が日課だとか。子育ても終わった大人が豊かに過ごす時間がここにあります。
家づくりのプロに質問!
Q. 建築家と家を造るときに成功するコツは何でしょう?
まずは、要望をきちんと建築家に伝えることです。プライバシーに関わることで言いにくいこともあるかもしれませんが、そういうことが家づくりには重要だったりします。また、ご家族で意見をまとめる必要はありません。いろいろな意見があるという現実を伝えていただくことで、それぞれの人の望みを最大限に生かした住まいづくりのお手伝いができるのです。

▲やはり大事なのは相性のいい建築家を選ぶことですと、石橋先生。