A邸に設置された内窓はすべて、Low-Eガラス4ミリ+中空層10ミリ+フロートガラス4ミリのエコガラス。キッチンの掃き出し窓のみ白い窓枠とし、合わせてカーテンも掛け換えた。
洗面にも引き違いのエコガラス窓。「こことトイレは、リフォームして効果があるのか最初はわからなかったんです。でも、やってよかった」
リフォームこそ昨年ですが、ガラスやサッシからの熱の出入りに気づいた時点ですでにAさんは高機能の窓への交換を考えていたそうです。
情報を集めて勉強しつつ、何年も踏み切れなかった理由を「やっぱり高いんですよね」。やるなら全部の窓を一度に、と決めていたご夫妻にとって、価格は大きな問題でした。
そこに転機が訪れます。
NEDO(ネド:新エネルギー・産業技術総合開発機構)が住宅を対象に行った省エネ改修補助事業をインターネット上で発見。工事費用の3分の1にあたる金額が助成される制度でした。
「NEDOは知っていましたが、一般住宅対象の事業は知らなかった。これだ、と思いました」このときは公募期間は終わっていましたが、その後もチェックを続けました。
同時に工事の依頼先もインターネットで探索。長年の商品研究の蓄積で採用する窓を『旭硝子のまどまど』と決めていたAさんは「近くでこれを扱っているお店を探しました」
ヒットしたのは、西宮を中心に窓リフォームの実積を積むヨネダ商店のサイトです。
「問合せをきっかけにメールのやりとりが始まりました。NEDO関係をHPに載せている希少なお店ですし。他はNEDO自体を知らないところも多かった」とAさん。
「エコガラスに惚れています」と公言する米田さんのこだわりとAさんの思いは一致し、互いの信頼感を醸成する中で、2010年8月にNEDOがふたたび補助事業を発表します。即、応募したのはいうまでもありません。
「工事費3分の1の補助は魅力的ですよ。NEDOあってのエコリフォーム、なんて言ったら怒られるけど」いえいえ、と米田さんが答え、笑い声が上がりました。
NEDOの助成対象は個人住宅の他、企業・研究者・NPOと幅広い。HPの公募情報は一度はチェックしてみたい。
こだわりの窓はデザイン面でもA邸に貢献しています。
リビングの段窓掃き出し窓につけた内窓は、あえて一枚ガラス。「前とイメージが変わらなくてよかった(Aさん)」。存在感ある大窓ならではの感想でしょう。
左から時計回りに米田さん、Aさんの奥様、Aさん。リビングの内窓は段のない一枚のエコガラスにした。「圧迫感がない。このやり方はお勧めやなと思います」
和室の内窓は障子仕様です。「これはすごい。最高やなと思います」Aさんに続いて「エコガラスで組子が入れられるのは『まどまど』だけ。やっぱりいいですね」と米田さんもうなずく仕上がりに。
外観にも注目です。内窓サッシは室外側にアルミが使われ、外からは「白い縁取りに見えて、奥行きと厚みを感じるんです」。わずかにグリーンがかるガラスの色は「高級感があっていいですよね」こちらは奥様の言葉です。
Aさんは言います。「(今回の窓リフォームは)マイナスがない。プラス面ばかりですね」エコガラスの断熱性能が実現した快適性と暮らしの変化、デザインまで「百点満点。久々の大ヒットですよ(笑)」
和室の内窓は、和紙調の樹脂フィルムを内側に張った組子のエコガラス。障子感覚で使用でき、日焼けによる変色もない。
室内側に樹脂、室外側がアルミの内窓サッシは、外から見ると穏やかな銀色。グリーンがかったエコガラスとともに、窓に奥行きと高級感が生まれている。
そんな中、これからの注目は暖冷房費です。
「寝るだけだった部屋に昼間いられるようになれば、エネルギー量は前より上がるかもわからんね」Aさんの指摘に、米田さんも「考えられます。お子さんひとり生まれるだけで変わってきますから」
「本当に豊かな住まいとは?」 が、ここでは問われているのではないでしょうか。
「住みやすくなってるんですよ」Aさんの言葉を待つまでもなく、リフォーム後のA邸は、暑さ寒さにちぢこまる毎日から住まい手をのびやかに解放する空間になりました。
この豊かさを、単純な省エネ数値と引き換えにするのではなく、効率の良い機器の採用から使い方まで熟慮する意識を持って両立させていくこと。未来に続く環境時代にあって「今後の課題ですね(米田さん)」
その言葉に暗さはありません。暮らしの中でごく自然に環境とエネルギーを考える。私たちみんなの中に、そんなライフスタイルはもうしっかりと根づき始めているのですから。
取材・文:二階幸恵
撮影:中谷正人

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