窓から見える青い空。この空がいつまでも続くように、いろいろ考えたいエコのこと。というわけで、エコ先進国と言われるドイツ、デンマークにお住まいのおふたりにも参加いただき、エコについてのよしなしごとを楽しく気軽に、でも真剣に語り合います。
今日もエコ日和

暑さをしのぐ

この夏、さまざまな節電対策が国を挙げてなされているようですね。
「ハイヒールでエコ」とエコ暮らしを呼びかける人気アーティストの存在もあるとか。
木原さんも、先日、「夏が来たから大変だ!ではなく、夏冬トータルに節電・省エネを」と
のメッセージを書かれていましたが、そうですね、ハイヒールであれ、健康サンダルであれ、下駄であれ(わたし、夏はドイツでも下駄ばきです)、習慣となって定着していくような節電、省エネになったら、すてきですね。

今年3月に原子力発電との訣別を決めたドイツでも、再生可能エネルギーの生産をさらに加
速しないと、これまで原子力が担ってきた電力分がカヴァーできないため、当分は電力不足
がつづくと予想されています。
でも、いまだ日本でのような節電の掛け声は聞こえてきません。不足分は地続きの国々から
輸入するという手もあるからでしょうが、それだけではないように思います。
すでに20年以上も前から、もう、さんざん、節電・省エネは行政や環境団体、電力会社の広
報テーマになってきたし、ドイツ人は(というか、欧州人は一般に)お金に極めてシビアで
すから、電灯をこまめに消す、冷蔵庫を陽のあたるところには置かない、といったお財布と
直結する省エネ対策など、他人に言われるまでもない、ということもあるかと思います。

それよりも、建物から熱が逃げることを防ぐ外壁や屋根、床などの断熱措置、効率の良い暖
房・給湯・換気設備への交換、太陽熱や太陽光などによるエネルギーの自家生産、ライフサ
イクル・コストを考慮した建材や設備の利用、これらが、政策上も、個人の意識の上でも、
中心テーマになっているように思われます。
というのは、ドイツでは、家庭で消費されるエネルギーの75%を暖房と給湯が占めているか
らです。
ここをなんとかしないかぎり、省エネルギーもCO2排出量低減も達成できないからです。

わたしの住む町の15世紀末に建てられたこの家も、数年前にリノヴェーションされ、エネル
ギー効率が著しく向上しました。


IMG_3643.jpeg
 欧州の建物の窓やバルコニーやテラスへの出入りとなるガラス戸には、ほとんどといってよ
いほど、鎧戸、外付けのブラインドやオーニング(日除けテント)が建物の一部として
「のっけから」取り付けられています。
冬の間に熱が逃げるのを防ぐとともに夏期の日射を遮るための装置です。屋内側に取り付け
るカーテンだけでは十分ではないからですね。
室内に置いた家具の陽灼けや傷みを防ぐこともそれらの重要な役割です。
最近は、2層や3層ガラスの窓や戸のガラスの間にブラインドを取り付けたものも増えていま
す。そして、こまめにブラインドの上げ下げや鎧戸の開け閉めがされています。

これは、「ニース式鎧戸」。南フランスのニースでは、軒並み、これです。
右上方と左のほうに、一部だけ斜め上に開けられているのが見えます。これがニース発祥の
鎧戸の特徴。日射しの調整をしながら、おしゃれしていますね。


IMG_3545.jpeg

先日、福田さんが谷崎潤一郎の『陰翳礼賛』と祖父母さまの家のことを書かれていましたね。
かなり前にドイツ語に訳された『陰翳礼賛』は、スイスやドイツの建築家にもよく読まれ、
ロングセラーになっています。わたしも友人や建築家へのプレゼントに重宝しています。

エアコンに頼るだけではなく、涼しさや陰を感じる感覚、涼しく暮らす工夫も大切ですね。
わたしが育った家も明治のはじめに建った町家で、本町通りに面した店の奥に座敷があり、
そこから坪庭と台所やサニタリー部分、隠居部屋、土蔵へとつづいて、土蔵の裏口を出ると、
表具屋さんやブリキ屋さんなどの職人ストリートがありました。
元・城下町特有の町のつくり、家のつくりです。
梅雨明け雷が鳴りはじめると、父は土蔵から緑麻の夏障子やすだれ、夏座布団、風鈴やうち
わ、蚊帳、夏の掛け軸を持ち出し、そして、重たい油団(ゆとん)を担ぎ出しました。
大正時代に飛騨の高山からやってきた職人さんがお寺のお御堂にこもってつくった、という
油団は、古い和紙を何層も煮糊で貼り重ね、8畳や6畳の大きさにし、表層には柿渋を塗っ
て、乾かしたもの。いわば、夏の和室用カーペットです。

そうやって夏支度が調うと、やがて長い夏休み。
畳は濡れた茶葉を一面に撒いて箒で掃くものでしたが、油団は糠を包んだ手拭い袋でこすり
磨くもの。それがおもしろく、わたしはふたりの弟とふざけながらよく手伝いました。
そして、夏の間は二階には上がらず、風が通る土蔵の前の広い廊下(板の間と呼んでいまし
た)で本を読んだり、ウリやトウキビを食べ、座敷の油団の上で昼寝をしたりして、過ごし
ました。
写真が一枚も残っていないのが残念ですが ...... あんまりふつうのことで、写真を撮ろうな
どと誰も思いつかなかったのでしょうね ......、わたしの目には、油団の茶の濃淡の鈍い光
沢や光をほのかに通す麻障子の緑色がしっかりと焼き付いています。


また、日が落ちてからの通りや庭に柄杓で水撒きしたのも夏休みのたのしい思い出です。
これは、スペインのコルドバで見かけた水やり風景。
パティオ(中庭)を囲む建物とたくさんの植物 ......暑さをしのぐ生活の知恵ですね。

CIMG3609.JPG
コルドバでは、サイザルを編んだ、すてきなすだれが家々の開口部にかけられています。
地中海に面したマラガにあるピカソ美術館のすだれもすばらしいです。
ああ、重くて持ち帰れない、とっても残念でした。

IMG_3294.jpegのサムネール画像のサムネール画像
CIMG3591.JPG



投稿者:森さん  カテゴリー:
2011年6月27日


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プロフィール

松本さん

2011年夏から協会に参加。省エネ担当。技術開発出身で戸惑うことが多く、右往左往しています。ミステリー、オーディオとペットとの散歩が趣味。

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木原さん

元・協会 調査役。現在は、AGCのショールーム「AGC studio」勤務。

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福田さん

デンマークに1993年より在住。環境に優しくて健康的なライフスタイルを自転車で走りながら実践しています。

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上山さん

ミラノに22年目、古いものと新しい物が混在する面白い町です。日本のみなさまに何かお伝えできることがあれば嬉しいです。

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森さん

南ドイツの小さな大学町テュービンゲンで「競争するより協同で」を教わりながら育つ。暮らしの中や旅路で出会う人たちの人生の多様性に魅了されています。

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