おばあさんトリオのお花見
いつもの年より1週間ほど遅れて、おばあさんトリオの毎年恒例のお花見をしました。
サクランボやリンゴの花はもうそろそろ終わりかけ、でも、白いナシの花がわたしたちを待っていて
くれました。
花をつけた果樹、牧草地、畑、村々、森、そして雲が流れる、このなんでもない風景を丘の上から見
渡し、「愛でる」のがわたしたち3人のお花見。
あの大きなナシの木、とっくに100歳を超えているのよ。クルミの幹の肌って、殻のそれと似ている
ね。セイヨウナタネの畑、増えたなあ。そんなことを話しながら歩き、立ち止まり、ベンチに坐りま
す。さっきから一羽のチョウチョがわたしたちに付いてきています。

この辺りの女の子に人気の趣味のひとつは、乗馬。
趣味以上に濃いものが馬と人の間にはあるようですね。
「ハロー」とにっこり笑って、去年もその前の年にも会ったような気がするふたりがわたしたちを
ゆっくり追い抜きます。馬上の人って、凛々しいなあ。でも、どうして、男の子は少ないんだろう。

近くの村の「山のカフェ」に寄って、裏庭のテラスでコーヒーとケーキにします。
わたしの友人の伯母さんふたりが「ふたりで生きていくために」長いあいだ経営していたこの伝説の
カフェ、ふたりが亡くなって、いまはギリシャ人ファミリーが受け継いでいます。
カササギの巣よ。高い梢を指差してマリアが言います。どうして分かるの? ああいうダラシナイつ
くり方をするのはカササギに決まっているの。ふーん、あれがダラシナイ巣なのか。わたしにはよく
分かりません。でも、あれだけの枝やらなにやら、集めるだけでも、たいへんな仕事じゃないかなあ。

別の村にあるマリアの畑にも寄ります。
彼女が畑の手入れをするあいだ、ギゼラとわたしのたのしみは「お畑拝見」。見慣れたもの、なにか
新しいもの、見所がいっぱい。
サクランボやリンゴの木に吊り下げた小鳥のレストラン、物置小屋の窓際に吊ったマリア手づくりの
昆虫ホテル、鳥たちのための水飲み場・・・あ、ベンチの脚もとからホップがツルを伸ばしている。
うれしい今年の発見です。



お花見の締めは、畑のルバーブを抜いて束ねること。
もらってきたルバーブで今年も甘酸っぱいジャムがいく瓶もできました。