窓から見える青い空。この空がいつまでも続くように、いろいろ考えたいエコのこと。というわけで、エコ先進国と言われるドイツ、デンマークにお住まいのおふたりにも参加いただき、エコについてのよしなしごとを楽しく気軽に、でも真剣に語り合います。
今日もエコ日和

春よ来い


早く来い。ところが3月の雪。天気予報では降水量1ミリでしたが、朝から降り始めた雪は一日続きました。冷たい2月のあと、3月になってから暦の春を思わせるような、晴れて穏やかな青空が広がっていたのですが。春になったのは暦だけ、やはりまだデンマークでは冬が立ち去ってはいませんでした。海も湖水も水面が2月から凍ったまま、そろそろ暖かい春が待ち遠しくなってきました。


3月の雪
こうして冬が長いから、北欧では室内を温かく保つために、いろいろな工夫が生まれてきたのでしょう。レンガ造りの断熱材が内包された厚い外壁、建物の屋内全体を効率良く暖房できる設備、室内と外気の温度差を調整するための2重窓など。昔からある工夫は、新しい素材や技術に代わり補われながら、今日でも活きています。断熱材の藁や新聞紙はロックウールに代わり、石炭のストーブはガスボイラーや太陽熱あるいは地熱を利用したラジエターや床暖房へ、窓には2枚のガラス窓から断熱2重/3重サッシへ。

1997年の京都議定書の調印後は、温室効果促進物質の排出を1990年レベルの21%にまで抑えるというデンマークの目標の達成を目指して、政府はエネルギー利用の効率の改善と代替エネルギー利用の促進を図ってきました。一般住宅の暖房効果にも注目し、まずは全国で1970年代以前の窓ガラスを断熱効果の高いものへの交換を推進。窓ガラスを交換したり、屋根や外壁の断熱材を増やしたりする改築の補助制度を設けた時期もありました。冬の寒さが厳しいデンマークでは暖房費の節約にもつながる住宅のエネルギー効率の改善は普及して、暖房や電気などの省エネルギーが一般的になりました。

2006年からは家庭電化製品や自動車などのエネルギー効率を示す「エネルギーマーク」制度が住宅に適用されることになり、不動産屋の物件案内にエネルギー効率の表示が見られるようになりました。デンマークでは売買や賃貸の物件には資格のある「エネルギーコンサルタント」が評価したエネルギー効率に相当するAからGの段階で示される「エネルギーマーク」の表示が義務づけられています。

好奇心にそそられて、各物件のエネルギーマーク表示を見てみると、築50年や築70年、築100年を越える古い、しかも大きな邸宅や館のエネルギーマークはFやGがほとんどです。ということは、入居者は効果的な暖房のための改修をしないかぎり、高額な暖房費を予測しなければなりません。「ロー・エネルギー住宅」に相当するAマーク表示の物件案内は、まだ見ていませんが、Bマークのものは写真で見る限り屋根の瓦も外壁のレンガも新しそうで、断熱効果を改善する改修工事をしたのかもしれません。

ところで我家は?暖房がひかえめでも室内を温かく保つことができるので、なかなかかもしれません。室温は約18℃。窓の外では、お向かいの屋根に積もった雪の上で、白と黒のカササギが羽毛を立てて丸まっています。

しっかり防寒の身支度をして、雪と氷の白い森へ。空を厚く覆った雲の向こう側には、明るい太陽が見えています。気温は氷点下でも、背の高い樹木の枝から枝へ、さえずりながら飛びわたる小鳥達。根元ではクロウタドリが虫を探して雪の積もった上から落ち葉をくちばしでつついたり。もう冬は終わり、春が来るのだなと。


雪の森

樹木の植物園「Arboretet」ではグレートーンの景色を黄色に染める花が咲いていました。シナマンサク(支那満作)です。天気が良かったので開き始めたのでしょう、予期せぬ雪に花が凍えているようにも見えます。水辺近くの柳の枝には柔らかそうな綿毛を付けた芽がふくらみ始めています。人影はありませんが、5cmほど積もった新雪の上には、散歩に来た誰かの足跡。遠くに子供達が雪で遊ぶ歓声が聞こえると、そのあたりには、たくさんの小さな足跡が雪の上に重なり合って残っています。


シナマンサク
ユキヤナギ
春の始めに寒さが長く続くと心配なのは、ミツバチ達。散歩のついでに巣箱を遠目にうかがって。今年はもう、太陽の光に誘われるようにエランティスやスノーフレーク、スノードロップが地面に小さな花を咲かせた3月初めに、にわかのポカポカ陽気で、ミツバチも冬越し後の初飛行済み。けれどもまた寒くなって、しかも巣箱の出入り口にも雪が積もっては、飛行はしばらくお預け。本当の春が来るのを、巣箱の中でミツバチ達はひとつにかたまり、じっと静かに待っています。


養蜂箱
「Arboretet」では、誰もいないと思っているのに視線を感じて周囲を確かめると、じっとこちらを見ているシカに出会うことがあります。「でもそれは日没が多いから」と考えていたところへ、突然、樹木の間から若いシカが現われました。こちらが気づいた瞬間に薮に隠れてしまうことが多いのだけれど、今日は立ち止まったまま、歩みを止めた私を見つめている。白い雪に、薄茶色のシカのシルエットが、くっきりと浮かび上がっている。


シカ

このつぎに、シカに出会うときには、樹木は薄緑色の若い葉に覆われているのかもしれない。みんな春を待っている。










投稿者:福田さん  カテゴリー:
2013年3月18日


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