犬猫の殺処分のない国
ミラノは不安定な天気が続き、夏は来ないのかと思いましたが、やっと夏になりました。
もうすでに小学校、中学校、高校と夏休みに入ったのに例年とは違った雰囲気が漂っています。
夏休みに入るころまで天気が悪かったのでなんとなく盛り上がりに欠けてしまいました。
天候が夏休みモードでなくてもお構いなしに学年末の成績発表があります。
ああいうのを見ているとイタリアの子どもたちは大変だなぁと思います。
これで、進級が保留になってるのがわかると夏休みを返上して勉強をしなければなりません。
緊張が走る時期でもあるんです。といっても、今更、慌てた所で結果は変わらないのですが。
でも、もう、次の学年に上がれないとわかってしまえば遊びたいだけ遊べるんです。
夏休みの宿題も無視したって怒られません。悲喜こもごもな季節です。
私はミラノで長いこと猫を飼っていました。その猫は20歳になる直前に死んでしまったのです。
それからもう、4年の歳月が過ぎ、そろそろ次の猫がいてもいいかなと思い、探していたのです。
仔猫はなかなか見つかりませんでした。仔猫が生まれる時期は年に2回、初夏は探すのにちょうどいいのです。
ネット上で「かわいい仔猫差し上げます」などと出ていてもそれがいたずらだったり、嘘の情報だったりで振り回されてしまいました。
いざ欲しいとなるといないものなんですね。血統書付きの猫は高値で売買されていますが、私には興味がないのです。
友人の勧めでミラノ市にある動物の保護所を訊ねることにしました。

イタリアでは日本の保健所のようなところはなく動物の殺処分はありません。
たぶん、ヨーロッパには無いと思います。では捨てられてしまったリ、飼い主を失った犬猫たちはどうなるんでしょうか。それは各地に犬猫の保養所というのがあって
そちらで保護、飼育されるのです。
ミラノにある一番大きな動物の保護所に行って来ました。まわりにあるのは高速道路とトウモロコシ畑、軍の施設でした。
そう、なにもないところに、どーんと大きな敷地の中にありました。
高級キャンプ場などに似たその施設からは犬達がわんわん吠えているのが聞こえました。
それが聞こえなければ本当にステキなリゾート地です。

私はその中の猫の保護所に行きました。
保護されてる猫は犬の数に比べると少ないので猫用の敷地は小さなものでした。
各部屋にはソファーがあり、数匹で暮らしていました。庭にも出ることができます。網の着いた小さな庭がそれぞれついていてとても快適そうでした。
中には年老いた猫もいてのんびり余生を送るのだろうなぁ、どうしてここに来ることになったのかなぁ、って考えさせられました。

仔猫は3匹居ました。
生後3ヶ月ぐらいの男の子と生後2ヶ月ぐらいの女の子2匹。
その中の2匹を気に入ってしまい、予約をしました。でも、すぐには貰えないのです。
ミラノ市役所の職員が私の家を訪ねて来て、猫にいい環境かどうかをチェックするのです。そして、沢山話をして、許可が降りたら初めてもらいに行けるのです。
家族に猫アレルギーは居ないか、飼った経験はあるかないか、前に居た猫の死因は何か。。。など。
やっと許可が降りて、貰いに行くとそこには誓約書がまってました。
誓約書の内容はかなり厳しくわかりやすく書かれていました。

1)猫を今現在の家で飼い続けるよう努力し、健康的な生活を心がけ、住まいが変わった場合は速やかに動物保護教会に知らせることを誓います。
2)猫が死んだ場合、死んだ日から30日以内に動物保護教会に、獣医師による死亡診断書を提出することを誓います。
3)猫が行方不明になった場合、その日から5日以内に動物保護教会に報告することを誓います。
4)何らかの理由で猫が飼えなくなった場合、動物保護教会に報告することを誓います。
5)猫をXXXXまでに避妊、もしくは去勢し、その証明書は術後一週間以内に動物保護教会に持っていくことを誓います。
NB:猫はたとえ飼い主がお金をかけても、6ヶ月間ミラノ市の所有となります。この期間中、係員達はいつでも監視に来ることができます。
もし、猫にとって良くない生活をさせてる場合、ミラノ市はいつでも猫を引き取ります
今、引渡される猫は健康に何の問題もなく、隠された病気はありません。
FIV/FELVテストは半年ごとに行われるべきです。ウィルスが体内に入った時期により、結果がポジティブになる可能性があります。
責任重大です。

こうやって、やっと貰うことが出来ました。
うちには守らなければならない命が2つ増えたのです。
食べて暴れて汚してスヤスヤ眠っての繰り返しです。数時間ごとに成長しているのを感じます。
買い物籠も重くなりました。
でもその重みがなんとも言えない幸せの重みでもあるんです。