窓から見える青い空。この空がいつまでも続くように、いろいろ考えたいエコのこと。というわけで、エコ先進国と言われるドイツ、デンマークにお住まいのおふたりにも参加いただき、エコについてのよしなしごとを楽しく気軽に、でも真剣に語り合います。
今日もエコ日和

電気が自由に選べる....... でも、どうやって?


ときどき、テュービンゲンの地元新聞にこんな見出しの記事が出ます。
「ご注意!戸別訪問セールスマンが市内を徘徊」。
何を押し売りするのかといえば、電気です。
電力販売会社の販売員がやってきて、いま、あなたが契約している商品よりこっちのほうが
ずっとお得ですよ、簡単に乗り換えられますから、と、その場でサインさせて契約を取ろうと
するのだそうです。

ディスカウント・スーパーマーケットが津々浦々にあり、日本以上に、電話やインターネット
接続料金、バスや鉄道、飛行機のチケットなどのディスカウント競争も激しいドイツです。
先月、電力市場自由化後14年が経った2012年のドイツの電気小売り市場には、1015の販売業
者があり、4702種類もの契約メニューが流通している、と書きました。年々、増えつづけてき
て、今後もさらに数を増やすのか、あるいは淘汰されるのか、分かりませんが、それらメニュ
ー料金もさまざまです。

ネットには、電気料金比較サイトがたくさんあります。
それらの画面で、テュービンゲン居住・年間消費量2500kWh・グリーンエネルギー、と、ユー
ザーの条件を入れると、30~50社のメニューがぱっと表示されます。年間料金は、465.75ユー
ロから796.57ユーロまで(約¥62,000~¥106,000)、かなり差があります。
「グリーンエネルギー」というシバリをかけているため、この程度のメニュー数ですが、原発
源でも石炭源でもよい、とすれば、選択肢はもっと広がり、料金も下がります。

年間330ユーロもの料金差がある商品から、わたしはどれを選べばよいのでしょう。
もちろん、安いに越したことはありません。
でも、メニューひとつひとつの条件を確認し、他と比較しながら見ていく必要があります。
経営努力で安い料金を設定している会社もあるでしょう。が、格安料金には上に挙げたような
押し売りやトリックが仕込まれていることもよくあるからです。

電気料金比較サイトもちょっとクセモノなんですね。
環境団体などが運営するサイトであれば安心なのですが、サイト上で小売業者乗り換え手続き
ができ、その手数料や広告で運営されているものがほとんどですから、メニュー・リストに
ヒッカケが含まれていることも少なくありません。
わたしなど、もっとおばあちゃんになったら、お手上げ状態になることでしょう。
料金だけでなく、法律も電力業界の状況も忙しく変わり、電力販売会社を替えたいと思ったと
しても、その複雑さ、面倒さに、おっくうになるはずです。

各地の消費者保護センターにもさまざまな問い合わせや相談があるようです。
たとえば、「年間2700kWh消費で500ユーロ」という固定消費量契約メニューを選んだが、
年間2200kWhしか消費しなかった、でも、500kWh分の差額が戻ってこない ------- まあ、これ
はしようがないですね、そういう契約をしたのですから。
でも、契約量を超えて3000kWhを消費したら、300kWh分について法外な料金を請求された、
というケースが多いようなのです。

販売会社の倒産もあります。
その場合、地域の配電線を持っている会社がバックアップすることが法律で保証されています
から、電気が止まってしまうことはありませんが、前払いしたお金は戻ってきません。

学者やお役人は「市場に競争原理の導入を、価格競争を」と言います。
ドイツの連邦系統規制庁(電気・ガス・通信・鉄道の系統の監理とその市場競争推進を任務と
する役所)の年報には「電気契約世帯の小売業者乗り換えは増えている(2006年の乗り換え
世帯数70万、2011年には300万・契約全世帯の6.5%)、しかし、まだまだ少ない、競争が足
りない」と書かれています。
しかし、ユーザーにとっては、ほぼ半分が税金や賦課金で占められている電気料金体系や、
「市場論理」の外のチープな販売競争に巻き込まれないように自衛することが目の前の問題な
んですね。

日本のマスコミ記事には「電気を選べる時代へ、低料金化も期待----- 電力改革」「発電会社や
料金メニューを自由に選べる時代がやってくる」などとあります。
そうかなあ、だいじょうぶかなあ、と老婆心で思います。

目に見えない、手で触れることができない生活必需品を選ぶわけです。
商品提供サイドに、<宣伝>や<広告>などではなく、その手の内を明かしながら公明な商品
説明をする態勢があることが市場自由化の前提のはずです。
中立的な立場で作成された判断材料やテスト結果に誰でもが簡単にアクセスできるような仕組
みも必要です。ユーザーが情報や助けが必要になったときに対応するセーフティネットが津々
浦々に、そしてネット上にも配置され、機能している必要もあります。
企業や役所の広報体制、それをチェックする社会システム、消費者保護システムが日本よりは
機能していると思われるドイツですが、それでもさまざまな問題が発生しています。
新聞記事がいうように<選べる時代>が日本にも来るのはよいとしても、高齢社会のなかでの
自由化、「買え買え詐欺」の種がまたひとつ増えないように、そこんとこ、ヨロシクね!と
思っています。


電気とお湯をできるだけ自給することを選んだヒルドさんの家の屋上には、17.28㎡の太陽光
発電パネルと15㎡の太陽熱集熱器が青く輝いています。
隣りに新しく建った集合住宅の屋上にもコレクターが並んでいます。
ドイツの新築住宅にはなんらかのかたちで再生可能エネルギーを利用することが義務化されて
います。

太陽光発電



投稿者:森さん  カテゴリー:
2013年6月28日


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2011年夏から協会に参加。省エネ担当。技術開発出身で戸惑うことが多く、右往左往しています。ミステリー、オーディオとペットとの散歩が趣味。

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南ドイツの小さな大学町テュービンゲンで「競争するより協同で」を教わりながら育つ。暮らしの中や旅路で出会う人たちの人生の多様性に魅了されています。

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