北欧の夏休み
旅行や避暑に出かけたり、帰郷している家族が多いようです。屋外で遊ぶ子供達の声が聞こえない住宅地は、静かな夏を迎えています。今年の7月は晴れの日が続いて、仕事を終えた夕刻に、浜辺や森へ散歩やサイクリングするのも心地よく、自然を満喫して小さな夏休み。気温が20-25℃では、エアコン要らず。窓を大きく開けて、緑の香りのする空気で室内の換気。
さわやかな風が吹くので自転車で乗り出すと、コペンハーゲンから北へウアスン海峡に面した海岸沿いのとおりには、たくさんのサイクリスト。毎年7月の3週間にわたって催されるフランスでの自転車競技「ツール・ド・フランス」の期間には、サイクルウェアとヘルメットで完全装備してロードレーサーを走らせる男性が、午後のテレビ中継後に出没します。デンマークの自転車道を颯爽と走る姿から察するところ、きっと「ツール・ド・フランス」出場選手にでもなった気分なのでしょう。
緩やかに弧を描く湾に広がる湿地帯に沿ったところでは、見晴らしの良い平らな道が長く続くので、サイクリスト達は身体中のエネルギーを出し絞ってスパートします。夏は南から、冬は北からの追い風を受けると、さらにスピードがアップ、飛びそうです。この湿地帯は様々な種類の渡り鳥がスウェーデンやロシアから、あるいは南ヨーロッパやアフリカから飛来するので、鳥類の保護地区になっています。また、貴重なデンマークのタゲリの繁殖地のひとつです。毎年春先には、タゲリが甲高い鳴き声を上げながら、アクロバット飛行を見るのを楽しみにしています。隣接する緑地には、数年前から牛が放牧されるようになりました。青い空と海、白い雲、緑の大地の風景か、穏やかに草を食む牛がいることで、さらに豊かに美しく自然の姿が描き出されるように感じます。





今は住宅になっているようですね。もう漁師は住んでいないのかもしれないと思いましたが、通りに面した家の裏に漁に使う道具が見えました。EUの魚の生息を保護するための政策によって、小規模の漁船による漁業が禁止され、ウアスン海峡沿岸でも多くの漁師が廃業したのですが、地元で直売する魚の漁は今でも続けられています。各港のレストランでは、もちろん沿岸で採れたカレイやタラ、サバなどを海風の香りとともに味わえます。
6月末に雨が続いた頃には、今年の夏休みにはイタリアへ行こうか、フランスへ行こうかと考えていました。上山さんの紹介の北イタリアの南チロルへはスキー旅行で行ったことがあって、美しい自然と美味しい食材が気に入ったので、冬だけでなく、夏にも行きたいと思って、旅行先の候補になっていました。けれども、7月になって好天気が続くと、北欧のさわやかな夏に魅了されて、のんびり自宅で避暑。
週末は浜辺へ。キラキラ太陽の光を反射して輝く海で、ひと泳ぎ。