夜長になりました。
冬時間(通常時間)に代わって、夜の時間が長くなりました。夕暮れが一時間早いのです。それなのに、朝6時半の起床時には、まだ窓の外は暗闇。朝焼けは朝食と一緒に。
商店街では11月末から始まる待降節へ向けて、LED電球の飾り付け作業が始まっています。私たちも自転車用のライトのバッテリを点検したり、暗い時間を「hygge(ヒュゲ)」するためのろうそくを買ったり、長い夜を過ごすための準備をしています。
少しずつ寒い季節へ
北欧の暗くて寒い冬を明るく温かく過ごすために、電気や燃料などエネルギーが必要だというのに、今年は発電量が少なくて、電気使用料金の上昇が懸念されています。夏に好い天気に恵まれて、風力発電のための風は穏やかで、水力発電のための雨は少なかったのです。持続可能なエネルギーによる電力が不足すると、火力(バイオマス)や原子力(ドイツからの輸入電力)に頼らざるを得ず、温暖化促進物質排出量減少の目標や原子力利用拒否の方針などにおいて妥協を要することも、また残念なのです。
さらに、世界的な化石燃料の価格上昇に連動して、暖房用の燃料の価格も上昇が続いていることも気になります。屋根裏や壁の断熱材を厚くして、室内の暖房効果を高めたら良いのでしょうか?温暖化促進物質排出量抑制のために暖炉の使用は止めたはずなのに、今年もやはり煙突を掃除して、薪を燃やして(ラジエータ暖房を補うための)暖を取る家もあるようです。
冷たい風に
スコットランドのグラスゴーで開催中(10月31日から11月12日まで)の第26回気候変動枠組条約締約国会議 (2021 United Nations Climate Change Conference)は、今までの会議よりもさらに深刻な様相で、パリ会議で結ばれた条約に賛同する国としない国の間の緊張が高まっています。地球上の多くの地域で次々と起きている天災は、今ある社会の崩壊を予兆するようでもあるというのに、貧困地域における生活の質の向上を図るために温暖化促進物質排出は免れないという主張も聞かれます。しかも発展途上地域の持続可能な発展は、温暖化をもたらした先進国が担うべきだというのです。
もちろん、世界のどの国のどの地域であっても、現代人の一般的な生活水準を満たす住居や公共の設備が整えられているべきです。けれどもそれは、地球上の全人類が必要以上の機器や家財に溢れた豊穣な暮らしを得るということではありません。
経済と産業の活動を続けながら、地球の生態系と私たちの普通の暮らしを保つことのできる対策や規定などを、世界の各国の代表者がグラスゴーの会議でもうけられるようにと望むばかりです。
雨のあいまに
天気予報は雨の一週間だったけれど、厚い雲がときどき切れて青空がのぞいたり。こうして太陽を仰ぐことなく、少しずつ冬へ向かうのがデンマークの秋。
雨に打たれて葉が舞って、樹木の枝が軽くなりました。広葉樹の黄色や赤に色づいた葉が針葉樹の緑を背景に映える、美しい秋が森に現れました。「春もきれいだけれど、秋の美しさも素晴らしいね」と友人が、しっとりした秋の香りのなかで散歩中に。
枝が軽くなりました
2年前に訪ねた軽井沢の紅葉を、ふと想い出しました。