工務店・ガラス店のみなさま/スペシャルインタビュー

「妥協」の選択肢はない。それが仕事(前編)

中村由多佳(なかむら・ゆたか)
1973年生まれ。大学卒業後、自動車部品メーカーで製品の実験に携わる。父の怪我をきっかけに1998年に丸正屋に入社。2000年よりエコガラスの取扱を始める。2004年日本板硝子ガラスグランプリスペーシア大賞東京支部10位、2005年同賞7位、2006年同賞5位。2009年日本板硝子スペーシア出荷量関東圏5位、同年旭硝子エコリグラスカップインナーウインドまどまど部門全国第6位。2010年代表取締役就任。旭硝子リグラスゴールドステイタス、日本板硝子スペーシア取扱認定店。
職人の矜持と研究者のまなざしを併せ持ち、膨大に蓄積されたその知識と技術は常に惜しみなく顧客満足に向け注がれる。軽妙な語り口の裏に隠された繊細さと生硬なまでの実直さに対する周囲の信頼は、年間2000件を超える個人/法人客向け業務および多数の公共施設向け業務や建物管理会社提携業務にもよく表れている。


自ら実験・体感したガラスの性能をお客さまにリアルに伝える

お客さまに与える印象に反し、本人は「エコリフォームの効果を伝えることはやはりすごく難しい、どうしゃべっているのかはおぼえていません」
大和市内にある本社の1階には、ガラスの業務とともに長年営業を続けている陶器店が入る。青い機能ガラスが窓にはめ込まれている2階が、中村さんのガラス研究室だ。

――エコリフォームに関する説明と提案がわかりやすくて的確だと、多くのお客さまから好評ですね。

「こんな天気のときはおそらくこう感じて、こんな日は今までと変わりません」とか「夜はこうなるでしょう」そんなことをとめどなく(笑)話しているんだと思います。

お客さまの服装を見てイメージを伝えることもあります。半袖長ズボンで暖房をつけておられたら「エコガラスにすれば、多分夕方までエアコンなしで大丈夫。日が落ちたらエアコンをつけて、服はそのままでいいですよ」といった感じに。

――快適さの説明は難しいですが、リアルに伝わってきます。

僕は研究マニアで、新しく出たガラスの性能が予想できないときには、まず実験をするんです。

本社建物内に空き室があり、シングルガラスの窓の内側に二重窓をつけて、新しいガラスを入れて実験します。この方法なら、エアコンと加湿器で外気温も湿度も自由自在に調整でき、外が5℃や10℃になる日を待たずにすむんですね。
あとは自分の体感や、おんどとりでの温度測定、大きい加湿器でガンガン加湿してどれくらいから結露するかを写真に撮ったりします。

ここで得た情報を頭に叩き込み、あとはお客さまの状況に合わせて説明します。自分で実験しているから、異なるガラスの性能の差も具体的に説明して提案できますね。


たとえ仕事が流れても、結果を一番満足してもらえるアドバイスを

エコリフォームを手がけた住宅の住まい手であるNさん(左)いわく「工事後の快適具合や効果が、本当に中村さんが説明された通りで、すごくびっくりしました。エアコンがいらなくなることにはならない、みたいな厳しいことも、最初から言ってくれましたね」。

――ほかに、お客さまへの説明で心がけていることはありますか。

「このガラスを入れようと思っているんだけど、いくらですか」と電話をくださるお客さまに「いくらですよ」と答えるようではだめだと思っています。
「大けがをして縫いたいので、いくらですか」と言われたのと同じですから、縫うだけでいいのか、その処置が本当に正しいのかをアドバイスする義務が、専門家にはありますよね。

だから、お客さまにはまず「状況を教えてください」と言います。
窓の向きはどっちで、何人で住んでいて、どんなときに寒いのか、結露が出るのか。価格もご案内しますが、それよりもガラス選定をやり直してみてはどうでしょう、というところから相談が始まります。

窓のエコリフォームは壁紙の張替と違い、見た目ではなく性能が変わる。短期間の工事で家本来の性能ががらっと変わってパワーアップするのですから、それを説明できるプロでなければと考えますね。

しかもリフォームガラスは種類が多く、カタログを見ても何が違うのかわかりにくい。マトリックスや熱貫流率の数値があっても、見方がわからなければ選ぶ基準になりません。
だからこそ、ノウハウのある業者がアドバイスをする義務がある。僕はそう思っています。

――具体的にはどのようなアドバイスを?

例えば結露を解決したいお客さまがいて、希望するガラスがあったとき「玄関ドアをちょっと開けて扇風機を回せば、そのガラスの性能でも大丈夫」と説明したり、「3箇所やるので予算に見合ったガラスを」と言われたら「高性能ガラスを2箇所入れて、もうひとつはお金を貯めて1年後にやったらどうですか」というような話もしますね。

相談されて、日常生活での換気の仕方などをアドバイスしたら、結露が解消できてリフォームの仕事そのものが流れちゃったこともあります。でも、お客さまに喜んでほしい「お客さま満足度魂」が僕は強くて(笑)そのためなら受注できなくてもいいやって。

不思議なことに、そういうお客さまから2年後くらいに電話がかかってくるんです。「あのときは予算がなかったけれど、お金を貯めたから注文します」って。そんなことが年に数回あります。

――その場の売上より、お客さまにとってベストな選択をお勧めしたことがきちんと伝わって、考えてくれたんですね。

やっぱり30万円、50万円の世界ですから、そのお金を投資していい相手かどうかも問われるでしょうね。
そしてお客さまがそういう姿勢で来てくださるなら、こっちももっとがんばろうと思う、そしてひとつの仕事が成功する…そんな理想を、いつも思い描いてやっている感じです。


エコリフォームでエコガラスは必須。予算より状況優先でグレードを提案

圧倒的な情報量を誇る丸正屋のウェブサイト。2年の月日をかけ、中村さん自らすべてのテキストを書きおろした。お客さまの悩み別にカテゴライズした解説はイラストも多用し、かゆいところに手が届く表現がなされている。 この仕事の半分はコミュニケーション、とも。「工事してお金もらってさようなら、ではなく、生きていく上で出会う多くの人との関わりが、僕たちの人生だと思うんですよ」

――エコガラスを扱い始めたのは12年ほど前とうかがいました。

それまでは父がやってきた公営住宅や公共施設、もちろん個人住宅も含めたガラスの修理をする普通のガラス屋でした。入社して3~4年経ち、団地の仕事だけでこれからもやっていけるのか疑問が出てきて、次のステップに行こうと考えたんです。

昔から憧れていたのは、複層ガラスのようなぶ厚いガラスをトラックいっぱい積んで仕事をすること。あるとき、機能ガラスのカタログを見て「こういうガラスもあるんだ、どう違うんだろう」それが始まりでした。
最初は全然注文なんかきません。誰からも頼まれないし相談もないので、本社の空き室の窓に入れてみました。それで寸法取りや施工もできるようになって、インターネットのウェブサイトで売り始めたんです。

――ちょうど真空ガラスが出た頃ですね。

はい。ガラス屋さんのウェブサイトもまだ数えるほどしかなく、見よう見まねでしたが、父とふたりでずっとやっていけるはずもなく、間口を広げるためにもここを伸ばしていこうと思いました。
今は仕事の半分が修理、もう半分がエコリフォームです。

エコリフォームでは、お勧めするのは最低限エコガラス。Low-E膜がなかったら性能は知れたもので、結露や寒さを防ぐにはエコガラス以外は効果がないですから。さらにその中から、住宅の環境や使い方、住む人の数などで選ばなければなりませんよね。

――エコガラスは大前提で、そこからお客さまの予算や状況にふさわしいものを厳選していくと。

提案を求められたときには、とりあえず予算はおいておき、まずお客さまの状況優先で選びます。そのあとに予算との兼ね合いで決めていきますね。

お客さまは通常、どのランクでもエコガラスにさえすれば結露も寒さも全部なくなるとイメージしています。結露が4分の1になればいい、なんて誰一人思っていません。そのあたりをこちらが読み解いて慎重にグレードを選ばないと、結局はお客さまの不利益になってしまいます。

ガラスを交換するのはほぼ一生に1回ですから、本当に合うものを選んであげないと損しちゃう。可哀想です。
後悔させたくないし、させないことが、投資してくれたお客さまに対する責任だと思うんです。


取材日:2012年10月3日
聞き手:二階幸恵
撮影:渡辺洋司(わたなべスタジオ)
有限会社 丸正屋
有限会社 丸正屋
神奈川県大和市
社員数 9名
業務内容/各種ガラス・窓・ドア修理、窓リフォーム、その他サッシや窓に関する商品の販売・施工

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