エコ大国・デンマークに暮らす福田成美さんから届いた手紙を毎月お届けします。
ゆたかな自然に抱かれたデンマークライフに、エコのヒントを見つけてみませんか?
葉は深緑色に、枝はさらに伸びた'私達の樹'。菜種はうっすら黄色に変わって、もうすぐ刈り込み。
すっかり日焼けした人々のリラックスした笑顔に、街で、職場で、学校で出逢います。短い北欧の夏。朝晩の空気が冷たく感じられるようになってきました。'明るい夜'にそろそろ別れを告げる季節。夜空に星が輝いています。
学校の新年度の新学期は8月から始まります。小さな体よりも大きな、真新しいリュックサックを背負った新入生が、両親に手をひかれて登校する姿は、いつ見ても初々しく可愛らしいもの。
春に生まれた白鳥やカモのヒナ達は、すっかり大きく成長してスイスイ水面を進んでは、頭を水に潜らせて餌を探しています。
美しい春の花を咲かせた枝にはサクランボやプラムが赤く実って、通りがかりに思わず手を伸ばして失敬。
甘酸っぱい味は野鳩やヒヨドリ達も大好き。リンゴやナシも黄緑の実がふくらんで、枝が重たそうに大きな弧を描いています。ヘーゼルナッツの実も既に緑から茶色に変って、秋まで楽しみ。
良く見てみれば、どの樹木にも各々に様々な形の種を潜めた実がついています。思わず自然の生命を生み出す雄大な力に感動してしまいます。そして、豊かに実を結び、私達へ糧を与えてくれる、自然の包容力にあらためて感心し、感謝したいような気持ちになります。
森の樹木の緑も深い色に変って、強い陽射しの注がれる暑い夏が想われます。数百年もの昔を知る高木の、幾層にも重なる葉の屋根の下に広がる地面には、あちらこちらに小さな不思議な生命体が呼吸をしています。キノコです。夏が終わりを見せ始める8月からキノコ狩りの季節。雨のあとの晴天の日には、森の地面の落ち葉の下から様々な形のキノコが頭を出します。茶色の丸い笠のものは、食べられるキノコ。大きな赤い笠に白い斑点がついたものは、童話の毒キノコそっくり。もちろん食用ではありません。
人々が旅行から戻ってきた住宅地のあちこちでは、屋根の瓦を替えたり、断熱材を加えたり、あるいは改築や増築の工事をする家が見られます。
夏の天候の良いあいだに、工事や修理あるいはペンキ塗りをする家がたくさんあります。大規模な工事や修理であれば工務店や大工さん、左官屋さん、レンガ職人、ペンキ屋さんなどの専門家に依頼しますが、小さな修理や駐車場や車庫の工事くらいなら、Do-it-yourselfの家も少なくありません。
今年の夏は断熱材を外壁や屋根に加えたり、古い窓を二重ガラスの窓へ替えるなど、住宅の断熱効果を高める工事が多いようです。
デンマークでは、温室効果促進物質の排出量抑制を推進する政策で、政府が住宅やオフィスビルの断熱効果を高めるための規則を設けています。
夏は温和でも冬の寒さの厳しいデンマークでは、室内暖房で得られた温かい空気の屋根や外壁からの放出を極力抑えることはエネルギーの有効利用に効果的な方策のひとつと重要視されています。
これは断熱効果を高めると放出エネルギーが軽減され、大気の温暖化を抑制するほか、暖房効果が向上し、余計なエネルギー消費を軽減することが可能で、それによって温室効果促進物質の排出量を抑制できるからです。
今年は断熱効果促進のために、政府は規則で定められた断熱効果の基準に達する改築に対し、一部費用を補助しています。
学校や仕事から帰ってきたら森へ、海へ。透き通った海の水をさぐって浅瀬の砂底に蟹を探したり。夕方の温まった海では、そろそろクラゲにも気をつけて。