デンマークからの手紙

2010年1月 バックナンバー

エコ大国・デンマークに暮らす福田成美さんから届いた手紙を毎月お届けします。
ゆたかな自然に抱かれたデンマークライフに、エコのヒントを見つけてみませんか?

粉雪の舞う日にも力強くたたずむ'私達の樹'。

粉雪の舞う日にも力強くたたずむ'私達の樹'。


2010年1月

北欧の冬。全てが凍てついて。

北欧の冬。全てが凍てついて。

カモもカモメもいない寂し気な港。

カモもカモメもいない寂し気な港。

静かな冬の朝の森。

静かな冬の朝の森。

COP15会場に設けられたCO2ニュートラルハウス。

COP15会場に設けられたCO2ニュートラルハウス。

仲良しの馬だから温かくしてあげて。

仲良しの馬だから温かくしてあげて。

屋根の上にうっすらかかった白い雪が溶けないのは、屋根裏が充分断熱されているから。

屋根の上にうっすらかかった白い雪が溶けないのは、屋根裏が充分断熱されているから。

氷と雪のつくりだす白い風景。

氷と雪のつくりだす白い風景。

デンマークの新年は静かな朝から始まります。
友達や家族と晩餐を囲んだ後、盛大に花火を打ち上げてにぎやかに年明けを祝った大晦日の晩とは対照的に、ひっそりとした元旦。
ほとんどのデンマーク人は前夜の疲れで、太陽が高く昇るまで寝入っています。
小鳥のさえずりだけが聞こえ、朝の冷たく澄んだ空気がいっそうさわやかに感じられます。
森で犬を散歩させている人やジョギングをする人々に出逢えば、[新年おめでとう!]と互いに挨拶を交わします。

2010年の始まりはデンマークとデンマーク人にとって、未来の地球と環境への働きかけを考える特別な年明けでした。
旧年の12月に国連のCOP15がコペンハーゲンで開催されたことを機に、デンマークはEUおよびデンマークの温暖化促進物質の排出量削減の目標達成のため、より効果的な具体策を講じていくことになり、多くの国民が地球環境とエネルギーに関心を寄せたからです。

世界各国から集まった人々とともにたくさんのデンマーク人が、地球の明るい未来を願うメッセージを掲げながらコペンハーゲンの街を行進しました。
公式発表では約十万人が行進に参加したと伝えられましたが、地球の危機を感じて環境を保護し改善しようと考え、行動する人々が世界中にたくさんいるという事実を目の当たりにしたのです。
きっと多くのデンマーク人が地球上の他の地域に住む人々に思いを馳せながら、地元や家庭で環境の向上や温暖化促進物質の排出量減少を心掛けることを、新年の抱負に掲げたことでしょう。

COP15の開催を盛り上げるために企画された展示会などの事業は、環境改善やエネルギーの有効利用等の技術を提供する企業だけでなく、世界中から多くの NGO団体が参加して開催されました。COP15の会場出口にはデンマークの断熱窓ガラスのメーカーが、扉の開閉時に屋外の冷たい空気が会場へ直接吹き込むのを防ぐホールを、ガラス張りのCO2ニュートラル・ハウスとして併設し、その技術をPRしました。
CO2ニュートラル・ハウスとは、屋根の上に窓ガラスや太陽電池を設置して可能な限り太陽エネルギーを利用するとともに、屋根や壁、床の断熱を効率よく行って、屋内のエネルギー消費および損出と屋外から供給されるエネルギーの収支を「0」にし、同時に温暖化促進物質の二酸化炭素の排出量「0」を目指す建物です。

このホールは北欧の建築らしく、床や天井だけでなく窓枠も木材で設えられ、大きなガラスの壁面から外光がふんだんに入る、明るくて心地よい空間です。
大きなガラスのドアから一歩、外に出ると、冷たい冬の海風が強く吹き付けてきました。

例年なら、元日の翌日2日が仕事初めです。クリスマス休暇を終えて心も身体もリフレッシュして仕事が始まります。今年2010年は2日、3日が週末で、仕事初めは新年の雰囲気を3日間たっぷり楽しんでから。

クリスマスの飾りが取り外されて、家庭にも街にも日常が戻って来る頃、一日の明るい時間が少しずつ長くなってきたと気付きます。すると、本格的な冬の足音がシベリアの方から近寄ってきていると感じます。

今年は青空の下、天然氷のリンクでアイススケートができるかしら?雪が降り積もった森の中をクロスカントリー・スキーで走り滑れるかしら?寒さはつらいけれど、ウインタースポーツの楽しさはまた格別。冬らしい冬の到来を北欧の人々は待ち望んでいます。


福田成美(ふくだなるみ) 福田成美(ふくだなるみ) 東京造形大学デザイン科II類機器デザイン卒。デザイン事務所勤務を経て1990年独立。1993年よりデンマーク在住。持続可能な発展のためのデザインを中心に事業を展開、現在に至る。
『デンマークの環境に優しい街づくり』(1999年)、『デンマークの緑と文化と人々を訪ねて』(2002年)を株式会社新評論より出版。

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