Builder’s Voice 工務店・ガラス店の声

「町のガラス屋」に回帰しつつ 新たなスタイルに向かって(後編)

南 正助(みなみ・まさすけ)
1938年生まれ。代表取締役社長。
大阪府板硝子商工業協同組合理事長・全国板硝子商工協同組合連合会会長・大阪府板硝子高等職業訓練校校長等を歴任。
南 可貫(みなみ・かつら)
1968年生まれ。常務取締役。
一級建築士・一級建築施工管理技士。南正助氏長男。建築設計事務所勤務を経て1999年より信田屋にて現職。構造設計のエキスパートでもある。
南 晃行(みなみ・あきゆき)
1970年生まれ。営業部設計室室長。
一級建築士・インテリアコーディネーター。南正助氏次男。建築設計事務所勤務を経て2008年より信田屋にて現職。同社におけるエコポイント活動の責任者。


エコガラスの無料配布で全社員の意識を改革

「エコポイントをチャンスととらえて、業界全体が高揚していければいいですね」(南 正助社長)

――従業員の皆さんには接客ノウハウ伝授のほか、会社の事業そのものに関する意識改革も進めておられるそうですね

南正助 はい。一番のきっかけとして、「まず体験してください」と、従業員にエコガラスを配りました。希望があって、取付け可能な人全員にね。
自宅用に内窓設置やガラス交換を選んでもらい、無料で配布しました。ちなみにエコポイントは会社に返還してもらいました(笑)

エコポイント制度が始まってすぐの、春にやりました。実際に販売する人がエコガラスの効果を実感・体感している方がいいにきまっていますしね。

南晃行 配布時は全員に、施工前後の窓の写真と窓際の室温データをとって提出してもらいました。
施工後はエコガラスの窓+条件の近い別の窓とで1年間、週に1度の室温測定を続けてもらっています。 販促用にも、やはりデータは必要ですから。

――皆さんの変化は?

正助 チラシひとつつくるのにも「私はこう感じたので、こんな情報を入れたらどうですか」と体験に基づいた意見が出てくるようになり、効果は上がっていると思います。

晃行 とくに防音関連の意見が多いですね。防音効果の実感が高いからそのあたりをもっとPRしては、とか。すきま風の軽減なども、もちろんありますよ。

――エコポイント関連の情報は、社内でどのように共有しておられますか。

正助 制度開始当初は、大阪で行われた講習のほとんどに担当者が出向き、メーカーさんの説明会にも参加していました。彼らが戻ってきて、社内会議で先生になってもらうんです。

晃行 スクリーンを使った勉強会も2度ほどしましたし、担当者レベルでは密な情報交換を常にやり続けています。


CO2削減の動きは止まらない。エコリフォームのチャンスは続く

10年以上建築設計事務所に所属し、構造と意匠設計の経験を積んでいる南兄弟。窓で足元を固めつつ、将来の新しいエコリフォーム事業へと思いを馳せる。

――エコポイント制度も延長され、ガラス屋さんにはチャンスが続きます。

南可貫 今は全国のガラス屋さんやサッシ屋さんがエコポイントに取り組まれていますが、私たちはこの制度が終わっても、いろいろな取組みを事業としてやり続けていきます。今までやってきたものにプラスαしていくかたちで。

正助 打ち上げ花火で終わらせずに、継続することが大事なんかなあと思いますね。

晃行 エコポイントの大前提はCO2削減ですから、制度が終わっても既存住宅でやらなければならないことは続くと思います。

――住まい手の意識も変わってきていますよね。

晃行 はい。窓断熱のメリットは、今まで業界内でしか話されてきませんでした。しかしエコポイントによって一般の方々にも浸透してきた。今回はええ機会だと思います。

――今後はやはりエコリフォームに力を入れていかれる?

晃行 そうですね。一般のお客さまに向けて商売していくスタイルの中で、売るものも変わっていくかもしれません。
ガラス窓まわりはもちろん、家全体をとらえたエコリフォームについても、将来的には考えていきたいです。

可貫 私たちが直接現場に行かなくとも、そういった仕事の窓口となれる体制をつくるということも考えられますしね。

正助 あまり大きく構えず、まずはうちの強みである窓を活用するということですな。

――可貫さんも晃行さんも、一級建築士として設計に従事した経験をお持ちですね。おふたりそろっていれば何でもできそうです。

正助 口ばっかりでね(一同笑)


取材・文:二階幸恵
撮影:渡辺洋司(わたなべスタジオ)
株式会社信田屋
株式会社信田屋大阪市生野区
社員数 48名
ガラス・サッシ・アルミ手摺、プレハブ用仮設ハウス用サッシ 等
設計及び施工 等 アルミ・スチール・ステンレス曲げ加工 等

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