窓から見える青い空。この空がいつまでも続くように、いろいろ考えたいエコのこと。というわけで、エコ先進国と言われるドイツ、デンマークにお住まいのおふたりにも参加いただき、エコについてのよしなしごとを楽しく気軽に、でも真剣に語り合います。
今日もエコ日和

そこにもここにも、どこにでも、生物多様性

毎年、4月の中頃になると、「明日!」とか「明後日!」とか、マリアが弾んだ声で電話してきます。サクランボとリンゴの花が満開になるから、見に行こう、というのですが、もう10年ほどもつづいている「わたしたち3人の伝統行事」です。


マリアが生まれ育った村の小高い丘をギゼラと3人でゆっくり歩きます。「静かねえ」「今年もハチがいない、おかしい」などと毎年おなじようなことを言い合いながら、ニワトコの枝を指でこすって匂いをかいだりしながら、歩きます。


下の写真、なんだか分かりますか?

ドイツを車で旅された方は、きっと、森の陰などで見かけられたことでしょう。


IMG_6435.JPG

ハンターの見張り台です。しっかりドアまで付いています。水平に撃つと、近くの仲間に弾が中るかもしれません。危険です。

で、この台の上で待ち構えていて、イノシシやシカが通りかかったら、上から地面に斜めに向けて発砲するのです。


マリアが、あ、この上に坐ろうよ、と言いました。

ハシゴをのぼると、わっ、ゴマよりちょっと大きな黒い糞がたくさん散らばっています。野ネズミのものです。


一枚板が渡してあって、3人が並んで坐るにはひどく窮屈ですが、おばあさん3人(ふたりとも、わたしよりいくらか年上です)、そこになんとかおさまると、わーい、女王様になったみたい。ふだん見ている風景が違って見えます。


白い花を開いた樹々が陽光のなかにぼーっとかすんでいます。ナシやプラム、クルミの花は満開にはまだちょっと間がありす。下草は青々と伸びています。

斜面の下には、教会の塔を真ん中に囲む村の家々の瓦屋根。遠くの集落、向かいの丘の上の礼拝堂。その手前の森や穀物畑。晴れ上がった大空。


この南に向いた丘の斜面は、昔はワイン用のブドウ畑でした。いまもところどころに、作業用の空積みの石段が残っていて、トカゲなど小動物のアパートになっています。

労働集約型のワインづくりはたいへんで、村の人たちは産業革命のころからホップ栽培に転向しました。工業化が進んで、みんなが工場に働きに出るようになると(この辺りはベンツやポルシェのお膝元)、今度は牧草地兼果樹園になりました。


生産効率優先のプランテーションのように、一種類を一列にずらーっと並べて植林するのではなく、さまざまな種類の、樹齢や大きさも異なる木々が不規則に散らばった果樹園です。農薬や肥料ももちろん与えません。


そうするうち、「果樹が点々とちらばるビオトープ」というタイプのビオトープがここでも育ってきたわけです。このタイプのビオトープは、南ドイツの自然・農業景観の代表のひとつで、あちこちで見かけることができます。


ブドウ畑やホップ畑のころとはそこに棲む動物や植物の種類も変わりました。シロツメクサ、スミレ、マツムシソウ、タンポポ、サクラソウ・・・・たくさんのちいさな野の花が木々の足元をいろどっています。


このようなビオトープは大気や地下水、土壌を守り、独特の微気候と地表や地下に棲む3000種もの動物の生活圏をモザイク状につくりだします。絶滅の危機に瀕した種もこの丘には数多く棲息しています。

そして、一年中、わたしたちを呼び寄せ、五感をたのしませてもくれます。


景観保全というのは、屋根の高さを揃えたり街路樹を見栄えよく植えたりするだけでなく、多種多様な生物の居場所を守る、人間にとっても健康な環境をつくりだす、ということなんですよね。


ハンター台に1時間以上もこもって、いっそう気分がよくなったわたしたちは、おしゃべりの種も尽きません。でも、さっきからわたしたちの後をつけてきたチョウチョが台の下で舞いながら、出発を待ち遠しそうにしています。

そろそろ、降りようか。あ、ツバメが目の前を横切りました。今年初めてのツバメです。




投稿者:森さん  カテゴリー:
2010年5月14日


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2011年夏から協会に参加。省エネ担当。技術開発出身で戸惑うことが多く、右往左往しています。ミステリー、オーディオとペットとの散歩が趣味。

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南ドイツの小さな大学町テュービンゲンで「競争するより協同で」を教わりながら育つ。暮らしの中や旅路で出会う人たちの人生の多様性に魅了されています。

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