窓から見える青い空。この空がいつまでも続くように、いろいろ考えたいエコのこと。というわけで、エコ先進国と言われるドイツ、デンマークにお住まいのおふたりにも参加いただき、エコについてのよしなしごとを楽しく気軽に、でも真剣に語り合います。
今日もエコ日和

やんちゃな町に住む

テュービンゲンは人口8万2000のちいさな町。といっても、人口10万以上を「大都市」と位置づけるドイツでは、全国2,065の都市の上から数えて94番目の「中都市」になります。なお、この「大都市」定義は、1887年に開催された国際統計会議で採択されたもの、だそうです。

住民の3人に1人は学生。学生密度、書店と眼鏡店の対人口密度、ともにドイツ・ナンバーワン、のテュービンゲンです。1477年の創立以来、国内各地から、世界各地から、数多くの学生や学者が「来て、去っていった」歴史が町のそこここに刻まれています。
学生といっても、日本とは教育システムがかなり異なっているため、30代、40代の人も、家族持ちもいます。学生寮にも「ファミリータイプ」が用意されています。勉強に来てそのまま居着いてしまった人も多く、わたしのまわりのほとんども「気だけは若いまんまのシニア」です。

このように古い歴史のある大学を核とする町をドイツでは「大学都市」と呼びます。日本でもよく知られるハイデルベルクやフライブルクもそうです。そこには、共通の雰囲気、のびやかというか、そう、どこかやんちゃな、他の都市とはひと味ちがう空気が流れています。

5月から夏休みがはじまる7月末にかけて、町の中心にある市役所前広場を夜更けに通りかかると、暗闇の地べたから沸き上がるような話し声や笑い声が聞こえてきます。ビール瓶などを手に石畳に坐り込んで、若いということを謳歌している学生たちです。彼らにつまずかないように気をつけて歩かなくてはなりません。

6月には、毎年恒例、学生ボートレースが開催されます。
ボートは、幅1.5m、長さ10mほど、ゴンドラのような木舟。1本の持ち重りのする長い棹を操ってネッカー川を下り上りして早さを競うのですが、棹だけでは足りず、手で水をかきかき「疾走」します。

今年も56のチームが参加。川岸も中州も、橋の上も、1万人の見物人が鈴なりでした。
折り返し点となっている中州と橋桁の間は「針の穴」と呼ばれる難所。勝負どころです。
舟同士、押し合いへし合い。舟から転げ落ちる人、水に飛び込んで力まかせに舟を方向転換させようとする人。みんな、必死の形相。にっちもさっちもいかない、とはこのことです。

橋の上から身を乗り出して見物する人たちの足の間にもぐり込んで、ちょっと失礼、手を伸ばして撮りました。


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「針の穴」をようやく抜け出し、ゴールに向かって一直線。
右手の舟は、医学部の女子学生チームのようです。揃って手術着を着ています。
最下位になったチームは、おそろしい味の肝油0.5リットルを飲み干さなくてはなりません。


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朝8時半ごろ、うちの近くの停留所でバスを待っていると、見覚えのある顔が目の前をさーっと通り過ぎます。
自転車に乗って出勤する市長のパルマーさんです。39歳になったばかり。

彼は2007年1月の市長就任演説の際も、他のことはそっちのけ、地球温暖化防止のことばかり話していたのですが、以来、テュービンゲンの環境政策は3つの E(省エネ、エネルギー効率向上、再生可能エネルギー生産・利用の促進)を掲げて、大きく前進しました。
たとえば、市役所業務の省エネ徹底、学校の断熱改修と太陽光発電設備の取り付け、近くの自治体と協同しての水力発電所建設(大きなダムではなく、流水利用の小規模発電所)、北海の風力発電プラントへの投資・・・。

そして、食べものやエネルギーの地産地消や既存住宅の省エネ改修など、市民に対する気候保全行動の呼びかけ。市長自身も公用車を廃止、徒歩や自転車では不都合なときだけカー・シェアリング・クラブの車を利用、夏休みも自転車でツーリング、と、市民の先頭に立っています。
パルマーさんは、その環境政策だけでなく、ドイツの自治体の長として初めて育児休暇を取ったことでも全国に知られています ------- 2か月間、うちにいて娘のおむつを替えていたそうですが、そのような貴重な時間はきっと市政に反映されることでしょう。

市役所裏の駐車場。市長御用達 teilAuto(カーシェアリング)の1台が停まっています。
どうしたんでしょう、ドアがベコベコになっていますが。
NPOが運営するテュービンゲンのカーシェアリングは、もう20年ほどにもなるでしょうか、オペル、トヨタ、ルノーなど大小の車75台、市内に約50のカーステーションを使いまわして、市民生活に根付いています。

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市バスは動く広告塔。
このバスは、環境にやさしい製品/サービスの公的認証マーク「ブルーエンジェル」、市のエネルギー供給公社の人気製品「100%水力由来・ブルーグリーン電力」を宣伝しながら走りまわっています。
ブルーグリーン・ブランドの電力は、地元のネッカー川の発電所だけでは生産が追いつかず、オーストリアの川で生産されたものも輸入・ミックスし、市内だけではなく、全国に向けて販売されています。

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投稿者:森さん  カテゴリー:
2011年7月11日


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2011年夏から協会に参加。省エネ担当。技術開発出身で戸惑うことが多く、右往左往しています。ミステリー、オーディオとペットとの散歩が趣味。

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南ドイツの小さな大学町テュービンゲンで「競争するより協同で」を教わりながら育つ。暮らしの中や旅路で出会う人たちの人生の多様性に魅了されています。

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