窓から見える青い空。この空がいつまでも続くように、いろいろ考えたいエコのこと。というわけで、エコ先進国と言われるドイツ、デンマークにお住まいのおふたりにも参加いただき、エコについてのよしなしごとを楽しく気軽に、でも真剣に語り合います。
今日もエコ日和

ゆうらりゆらり。


水面をすうーっとすべるように進んで、ネッカー川を往き交う木舟。
この舟の上での誕生日パーティを娘がプレゼントしてくれたことがあります。
彼女の友人が、勤務先から借り出した舟をきれいに掃除し、棹をさしてくれました。
真夏でも日が落ちると川面には冷たい風が渡ります。プロセッコにロウソクに花、そして、うちにあ
りったけの膝掛けを積み込んでの舟出でした。背もたれ板にからだをあずけて、ゆうらりゆらり、中
州に沿って1時間半の旅。みんなが誕生日の子ども(100歳のおばあさんでも、年に一度のこの日は
「子ども」と呼ばれます)のために「おめでとう」の歌を合唱してくれました。

ここしばらく乗っていないなあ、そうだ、今年の誕生日はまたゆうらりしよう、と思いながら、先日
撮った写真です。
左手のいかだ、新顔です。水上ミニミニ・ビアガーデンのようです。柵囲い付きなのは、酔っぱらっ
てもだいじょうぶ、川に落ちないよ、のつもり?


水上のいかだ
6月の初旬、東北地方を旅しました。
陸前高田から盛岡まで迎えに来てくれたヒロキさんが「明日と明後日、流れ橋、架けんだよ!」と、
いまにも駆け出しそうな顔で予告します。流れ橋?橋架け? ヒロキさんは携帯電話で、長靴がど
うした、こうした、と、車の中でもなんだか忙しそうです。

その明後日の朝、車から降ろされたところは、この町を流れる気仙川の土手。
ああ、このことだったんだぁ・・・・・。美しい流れ。ここにも、棹さし木舟がありました。


橋の架け替え1
土手に腰を下ろして、橋造り作業を眺めました。
隣りに、犬を従え、長い杖を手にして、やはり作業見物する人が坐っていました。
イチ、ニィ、サン・・・ひとりごとのような声が聞こえてきます。
「何、数えてるんですか?」
「いや、何人あつまったかと思ってさ。12、3人はいるね。みんな村のもんだけど、あんなかには
 大工もいるんだよ」
この横田地区で農業を営む86歳の松田富美夫さんでした。
ヒロキさんがあとで教えてくれました。
「フミオさん、地元のことならどんなことでも知ってる、分かってる、ものすごい人なんだあ。
 去年の津波で流されたこの橋の架け替えの日取りも、みんな田植えが終わった、さあ、いまだ、
 って、フミオさんが決めたのよ」


橋の架け替え2
フミオさんは作業から目を離さず、でも、たくさんのことを話してくれました。
「どうして、この橋を架けるんですか?」
「ワタシが渡りたいからです。向こうに畑があっからね、ほら、まだ花が咲いていない木が何本も見
 えるでしょ、あれはネムの木だよ、あの辺にね、橋渡って仕事に通うの。昔は、こういう橋を4つ
 も渡って行ったもんだよ」

フミオさんが言う「こういう橋」とは、槌で杉の丸太を川底に打ち込んで橋桁をつくり、その上に、
板を3~4枚縦に並べ渡した木の橋。人がすれ違うことができるほどの幅は約1m、水面からの高さ
は約2m、長さは土手から土手まで約70m。
川の中の丸太を打ち込む場所は決まっていてね、ここでないとだめ、というところがあるのよ、と、
フミオさんは言います。

渡り板は、古いのや新しいのがはめ込み細工のように組み合わされています。
昔から生活するのに欠かせない「こういう橋」(横田地区のこの橋は「本宿橋」という名前です)は
台風や豪雨で流されてしまうことがあります。そのたびに地域の人たちは復旧してきたのですが、昭
和40年代になって、板が流されてしまわないための工夫が生まれたそうです。板1枚ずつにあけた孔
にワイヤーを通し、それぞれ両岸につなぎ止めておく、そうすれば、橋が流失しても、板は残る、ま
た使える、と。

年代が異なる板が組合わさっているのは、だからなんですね。
それにしても、なんて賢いアイデアでしょう。自然の仕業に何度も何度も痛い目に遭ってきた人たち
の身体から生まれた、もういいかげんにしてよ、だから、の、知恵でしょうか。


年代が異なる板
橋架け作業が片付くと村の人たちはすばやく仕事道具をまとめ、土手の上で晴れ晴れと乾杯、そして
バーベキュー ------- 仕事もたのしみもすべてが阿吽の呼吸で流れていくようです。

その翌朝、もう一度、板橋の様子を見に行きました。
トマトやキュウリの温室の前にフミオさんが坐っています。
「フミオさーん、今日は何してるんですか?」
「鎌研いでいるんだよ。あんた、どこから来たの? へえー、ドイツ。ワタシなんか、海渡ったこ
 と、ないよ。ああ、北海道へはいっぺん行ったか。仙台には二度行ったけどね」

砥石を入れた麻袋に紐を通して腰に巻き、それに研いだ鎌をすっとさしたフミオさん、これからど
こへ行くのでしょうか? 
そうです、板橋を渡ってネムの木のある向こう岸に行くのです。長持ち橋でありますように!


フミオさん
盛岡から南相馬まで南下する旅は、目の前に広がる風景に言葉をなくし、多くの人の話にただ耳を傾
けるしかない、そんな毎日でした。
しかし、ヒロキさんが連れ歩いてくれた陸前高田の仮設住宅や仮設商店街、カモメが遊ぶ海際の実験
水田、気仙沼の復興屋台村で会った人の話から、そして、フミオさんとの出会いのなかで、東北とい
う風土が持つ自然と人と生活文化の本来の豊かさが心にじわじわと沁み込む日々でもありました。

広田湾の港には、杉の丸太を組んだ牡蠣の養殖いかだが高く積み上げられ、出番を待っていました。


牡蠣の養殖いかだ




投稿者:森さん  カテゴリー:
2012年7月23日


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2011年夏から協会に参加。省エネ担当。技術開発出身で戸惑うことが多く、右往左往しています。ミステリー、オーディオとペットとの散歩が趣味。

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南ドイツの小さな大学町テュービンゲンで「競争するより協同で」を教わりながら育つ。暮らしの中や旅路で出会う人たちの人生の多様性に魅了されています。

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