窓から見える青い空。この空がいつまでも続くように、いろいろ考えたいエコのこと。というわけで、エコ先進国と言われるドイツ、デンマークにお住まいのおふたりにも参加いただき、エコについてのよしなしごとを楽しく気軽に、でも真剣に語り合います。
今日もエコ日和

「ファンタ~スティック!」な家づくり


先月、毎年恒例の「パッシヴハウスのお宅拝見会」が開催されました。
昨年も「パッシヴハウス、って?」というタイトルで、パッシヴハウスと呼ばれるエネルギ
ー効率の高い建物の計画コンセプトや見学会の様子をレポートしましたが、これから家を建
てよう、既存住宅を改造しよう、という人にとって実際的な情報が収集できる催しです。建
築家や建設業者にとっても、またとない広報・営業のチャンスになります。

朝から雨の日曜で、こんなお天気だもの、出かける人はあまりいないだろうなあ、と思いな
がら、地図を手に、隣り町の高台にある住宅地に向かったのですが、とんでもない、昨年を
上回る盛況でした。
見学した2軒ともに、40~50人は集まっていたでしょうか。
ほとんどが30~40代カップル。<野次馬>は、わたしぐらいなものです。
オウナーが「さあ、どうぞ、好きなだけ見てください」と見学者を招き入れ、その設計コン
セプトや住み心地を建築家といっしょに説明してくれました。


1軒目の北面外観
2戸構成の戸建て、延べ床総面積327㎡、白い外壁の1階部分は賃貸し、2階と3階(赤い
外壁1階のエントランスから出入りします)が男性ふたりのオウナー住居。
一昨年の10月、1958年築の「カビだらけで、もうとんでもない状態の、ほとんど廃屋」を
購入、部分解体や設計に半年、工事に半年かけて、入居は昨年12月、典型的な既存住宅エネ
ルギー性能向上改修例です。

躯体の残せるところは残していますが、典型的な戦後住宅の特徴が一掃された外観や間取り
はまるで新築のようです。
2階は、ワンフロアほぼ全体が庭に向かって南面に大きくひらいたリビング&ダイニング&
キッチン一体型のオープンな空間(約80㎡)。そして仕事部屋があります。

写真の2階中央に床までの窓が見えますね。
元は横に長いバルコニーがあったのを屋内に取り込んでいるのですが、この窓辺を食事コー
ナー、右方を大きな納戸にしています。
3階には、寝室、広い浴室、サウナ、そして、ルーフテラスに面してホビールーム。

オウナーに住み心地を聞くと、ひとこと、「ファンタ~スティック!」と返ってきました。
解体作業はオウナーふたりの素人DIYでやり遂げ、設計や工事にも全面的にかかわって、自
分たちの思い通りの家ができた、そうです。


さて、「お宅拝見」のハイライトは、地下の温熱ワークステーション。
ここがパッシヴハウスの<ミソ>、まさしく、縁の下の力持ちコーナーです。
写真上は暖房給湯用木質ペレット燃焼機、下は外気&地熱利用・排熱回収の換気装置。
写真にはありませんが、大きなペレット2年分備蓄容器や貯湯槽も置かれてます。


暖房給湯用木質ペレット燃焼機
換気装置

建築家のライナー・グラーフさんが、断熱や温熱環境計画についてくわしくレクチャーしてく
れます。見学者の質問にもていねいに答えていきます。
部位によって異なりますが、外壁の断熱は30cm厚の古紙セルロース材、U-値0.091W/㎡K。
窓は断熱材入り3層ガラスの木枠。屋上には15.4㎡のソーラー温水器と太陽光発電装置。
一次エネルギー年間消費量は、70kWh/㎡。

昨冬は氷点下の日がつづく厳しい冬だったが、暖房給湯費は400ユーロ以下で済んだ、今年は
11月中旬時点でまだ床暖房を入れていない、くつろぎたい夜などに居間の付加暖房用薪ストー
ブをちょっと焚くぐらい、とのオウナーの話に、見学者の間に賛嘆の声が上がります。

赤い外壁部にある階段室は、このようなすっきりしたデザイン。


階段室

2軒目のお宅は、昨年もレポートした家です。
あのときはまだ改修工事中で、屋上の太陽光発電装置だけが稼働していました。

1963年築、居住面積204㎡、夫婦と子供2人の4人家族のための戸建て住宅。先の家とほぼ
同様の温熱環境計画コンセプトによる改修です。
たとえば、窓は、3層ガラス、木(屋内側)とアルミニウム(外部)のフレーム、U-値 079
W/㎡K です。

昨年、2階のルーフバルコニーに直接つながった浴室がすっかり気に入ってしまったわたし
は、あそこ、どんなふうになったかなあ、と、とてもたのしみでした。

昨年は、ほら、こんなふうでした。

浴室昨年の様子
雨の夕刻、灯りを付けてもらってもこの程度の(お手軽カメラで)ごめんなさい。
およその雰囲気は感じていただけるでしょうか。
窓からもガラスドアからも外光が入るサウナ、ああ、いいですね。
カメラの後ろに、ダブルシンクの大きな洗面台があります。


浴室.jpg

2軒の家を設計したライナー・グラーフさんは、デザインだけでなく、エネルギー・システム
計画、現場監督まで一貫して担当できる地元建築家。
オウナーたちは、「施主の話をよく聞いて、施主の意向をそのままかたちにしてくれたパート
ナー」と満足そうです。
でも、話を聞いているうち、オウナーの人たちの建築やエネルギーについての知識も並大抵で
はないことが伝わってきます。「建築家先生」はほぼ不要、というわけです。

世界長期不況、ユーロ危機、といわれるなかでも、いまのところ、ドイツの経済状況は好調で
す。歴史的な低金利を背景に、「クオリティに較べて低価格」と外国資本もドイツ不動産市場
に大量に流れ込み、大都市周辺はインフレ・ヘッジの不動産投資ブームに沸いています。

そのようなブームの外で、サステーナブルな住まいづくりも着実に同時進行しています。
わたしが住む州では、来年の、特に子育て中の家族や所得がそれほどない人たちに手厚い、エ
ネルギー効率の高い家づくり、既存住宅のエネルギー性能改善、再生可能エネルギー利用、バ
リアフリー住宅に対する融資条件改善プログラムが発表されたところです。





投稿者:森さん  カテゴリー:
2012年12月17日


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2011年夏から協会に参加。省エネ担当。技術開発出身で戸惑うことが多く、右往左往しています。ミステリー、オーディオとペットとの散歩が趣味。

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南ドイツの小さな大学町テュービンゲンで「競争するより協同で」を教わりながら育つ。暮らしの中や旅路で出会う人たちの人生の多様性に魅了されています。

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