窓から見える青い空。この空がいつまでも続くように、いろいろ考えたいエコのこと。というわけで、エコ先進国と言われるドイツ、デンマークにお住まいのおふたりにも参加いただき、エコについてのよしなしごとを楽しく気軽に、でも真剣に語り合います。
今日もエコ日和

ごみと人権


この数日、雪のテュービンゲンです。
今日は、東京の従姉が暮れに送ってくれた帯広産小豆でおぜんざいを煮ながら、雪深い北陸
のお正月を懐かしんだりしています。

さて、ドイツの2013年は、公共料金の値上げで明けました。
電気、公共交通、郵便、ラジオ・TV視聴料、軒並みです。
そのうち、カフェのコーヒーなども、いつのまにか値上がりしていた、なんてことになるん
じゃないでしょうか。

そんななかで、生活ごみ処理料金は、ごみの出し方次第で節約できることになりました。
わたしも、昨年は年間111.61ユーロ(約¥14,000)だったのが、今年は90.93ユーロ(約
¥11,500)で済みそうです。
新しいごみ容器が導入され、それに伴い、料金の計算方法が変わったのです。


昨年11月のある日、市内の各建物の前に、それぞれ中にある住戸の数だけ、新しいごみ容
器が配達されました。
路上に駐車した配送車から降ろした容器の底にスッと金属の軸を通し、パンパンと車輪を2
個はめ込むと、上部のハンドルを後ろ手に持って戸口まで運ぶ作業が進められていきます。


新しいゴミ箱
車のなかに、まだ横になっている緑色の「生ごみ用」も見えますが、これは黒い「残りのご
み用」です。


「残りのごみ」とドイツで呼ばれているのは、たとえば、鼻をかんだティシュペーパー、掃
除機の塵芥袋、肉の食べ残し、煙草の吸い殻、おむつ、白熱球、文房具、歯ブラシ・・・。
日々の生活のなかで不要になるもの、出てくるものは13のカテゴリーに分別・回収され、そ
れぞれができるだけ再利用、資源化されるシステムになっているのですが、どうしてもその
分類にあてはまらず、焼却するしか行き場がないもの、それが「残りのごみ」です。


容器の容量は、生ごみ用が40、60、80、120、240ℓの5タイプ、残りのごみ用が40、60、
120、240、660、1100ℓの6タイプ。サイズは、40ℓ容器の場合、縦横48cm x 55cm、高
さ93cm、容量が増えるにしたがい、すこしずつ大きくなっています。
各世帯は前もって希望する容量を申し込んでいるのですが、1~3人世帯が多いわたしの近
所では、生ごみ用、残りのごみ用ともに、ほとんどが、40ℓか60ℓを選んだようです。


生ごみ収集は、これまで通り2週間に1回(夏期6~9月は毎週)、年間33回、回収・処
理料は40ℓ容器の場合で44.51ユーロ。
残りのごみも、2週間に1回、年間26回、収集車が来ます。
でも、毎回は出さずに、月1回程度、年12回にセーヴすることができるようになった、こ
れが、今回の新容器導入のミソです。年12回の回収・処理基本料金として、40ℓ容器の場
合で46.42ユーロが設定され、それ以上出したときは、1回につき2.31ユーロが加算されま
す。新しいごみ容器には、その持ち主特定と回収回数をカウントするチップが取り付けられ
ている、というわけです。


でも、2週間や月1回の収集、そんなもんで間に合うの? と思われるかもしれませんね。
それが、間に合っちゃうんです。
日本とは気候の違いもありますが、生ごみは水気を切って新聞紙にきちんとくるんで容器に
入れておけば、匂いや虫の心配もありません。新聞雑誌、段ボールなど資源化用古紙は5~
6週間に1回無料回収されます。ワインやオイルなどの空き瓶は地区ごとに設置されている
資源化用のガラスコンテナに2か月に1回程度、投げ込みに行きます。
めったに飲みませんがペットボトル飲料の空きボトルや水の瓶などは店に戻して払い戻しを
受けます。卵は再生紙でできたケース持参で買いに行きます。

洗剤容器など合成樹脂素材の容器、アルミニウムの缶や瓶のふたなど、軽包装材は資源化用
ごみとして隔週1回の回収に出します。
日本では、自治体ごとにきめの細かいごみの分別規定があり、ドイツ人よりもきちんと分別
している人が多いようにも思われます。でも、どうして、あんなに日本の家庭から出るごみ
は多いのか、回収回数が多いのか、といえば、やはり、この包装材が家の中に入ってくる量
がとてつもなく多いから、ではないでしょうか?
ドイツの商品の包装は極めて簡易で、できるだけ合成樹脂素材は排除されていますし、容器
や包装なしで中身だけ買えるものも店も多いですから、これこそ2か月に1回程度の収集で
十分なほど、ごみとして出すのはわずかです。

そうやってそれぞれ始末していくと、残りのごみも月1回の回収で十分です。
というわけで、我が家は年間 44.51+46.42=90.93ユーロでOKになったわけです。
ごみの出し方に料金差が持ち込まれたその意図がごみ減量対策にあることは、もちろん、明
らかです。消費者の意識改革を呼びかける標語やキャラクター入りののぼりをはためかせた
りするより、よほどスマートですね。

持ち主特定と回収回数をカウントするチップ、そしてもうひとつ、新容器には大事な点があ
ります。容器の高さと車輪です。
チップより、実は、むしろ、こちらのほうに重点があります。

昨年までの収集風景です。
もっとそばに寄って撮ればよかったのですが、朝7時なので、横着してうちのキッチンの窓
から撮ったものです。

昨年までの収集風景

ひとりの人が腕を伸ばして、ごみ容器から車のごみ収容器に中身を移しています。
もうひとりの人は、ごみ容器を手に運んでいます。これは、わたしが21年間使ってきた残
りのごみ用35ℓ容器、直径37cm、高さ45cmの円筒形です。

でも、35ℓ x 26回/年 x 21年=19,110ℓ!!、って、いったい、重さはどれぐらいになる
のでしょう? 
毎回フルに詰め込んだわけではありませんが、これに生ごみその他を加えたら、もうもう、
恐るべき量と重さのごみをわたしは排出してきたことになります。

EN(欧州工業規格) 840に準拠した車輪付き新容器導入の主目的は、このような重いもの
を扱う労働者の作業負担を軽減すること、背中や腰などの骨や筋肉の障害を予防すること、
作業者の安全と健康を守ること、だったのです。
これまでの高さ45cmの車輪なし容器では、腰をかがめて持ち上げ、手に下げて運ばなくて
はなりません。車内の収容器にごみを移すために容器を持ち上げなくてはなりません。高さ
を93~108cm(容量によって変化、内部のごみ収容部は上げ底)にし、車輪を付けたこと
で、それらの作業を回避、負荷を削減する、これが狙いです。

欧州連合(EU)加盟国は、「○○○について、今後こういうふうにしていきましょう」とい
う総括的な指針がEU議会で承認されると、それを各国の国情に合わせて、定められた期限
内に、国の法律、制度に置換することになっています。EUの政策、行政の全般にわたって
このシステムが運用されています。
テュービンゲン市の新型ごみ容器導入は、1996年に発効したEU指針「労働の安全・保健規
定 ----- 労働者の作業負担に関する条項」をドイツ国内に置換した条例に基づく措置です。


お正月早々、長々とごみのことなどでごめんなさい。
テュービンゲン市の昨年来の市民への広報の展開などを見てきて、ああ、そうだったのか、
こんなふうに人権って守られていくんだ、と、感動したものですから、ご紹介しました。

最後に1枚、大晦日から新年を過ごしたベルリンで撮った写真を。
Müll (ミュル)は、ドイツ語でごみのことなのですが、「マルチタレント」にひっかけて、
「ミュルチタレント」なんて冗談造語を車体にくっつけています。
ベルリンのごみ処理はドイツ南部の自治体に較べるとずいぶんラフというか、いい加減なの
ですが、なんだか、ベルリンらしくて、これもいいなあ、と見とれたごみ収集車です。

ベルリンのごみ処理




投稿者:森さん  カテゴリー:
2013年1月28日


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プロフィール

松本さん

2011年夏から協会に参加。省エネ担当。技術開発出身で戸惑うことが多く、右往左往しています。ミステリー、オーディオとペットとの散歩が趣味。

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南ドイツの小さな大学町テュービンゲンで「競争するより協同で」を教わりながら育つ。暮らしの中や旅路で出会う人たちの人生の多様性に魅了されています。

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