窓から見える青い空。この空がいつまでも続くように、いろいろ考えたいエコのこと。というわけで、エコ先進国と言われるドイツ、デンマークにお住まいのおふたりにも参加いただき、エコについてのよしなしごとを楽しく気軽に、でも真剣に語り合います。
今日もエコ日和

元気なパブリック・ユーティリティ


東京・世田谷区から春風のようなニュースが届きました。
区長の保坂展人さんのブログ『「世田谷電力」設立でエネルギー革命』です。

世田谷には太陽光や風力による発電施設を建設できるような広い土地はない、しかし、それら
再生可能エネルギーでつくられた電気を選択・購入したいという潜在的な市場ならある、区と
交流のある全国に散らばる自治体との連携で新しい電力流通の仕組みをつくりだそう、地域が
主体となって電力会社を立ち上げよう ------- そんなプロジェクトが、国がいま進めようとし
ている電力システム改革・電力小売りの全面自由化に先がけて、人口88万の世田谷区で立ち上
げられた、という内容です。
http://www.asahi.com/and_w/life/TKY201304090070.html
(朝日新聞デジタル版連載『太陽のまちから』)
http://www.asahi.com/and_w/life/TKY201303190232.html

調べてみると、日本には、自治体や地元住民が自ら事業主体となって再生可能エネルギー源で
発電に取り組む例はすでにたくさんあるんですね。
群馬県太田市や新潟県の太陽光、大分県日田市のバイオマス、長崎県小浜温泉の温泉、千葉県
大多喜町の水力......... 東京辺りから資本を携えやってくるメジャーな企業に<場所貸し>する
だけではなく、<地元の、そこにある>ポテンシャルを自ら掘り起こしてエネルギーに転換し
ている町が、いくつもいくつもピックアップできます。

地産地消・自給自足もステキだし、外に売電して地元に収益を持ち込めればもっとうれしい。
でも、つくっても受け皿がなかったら困ります。いまは地域の電力会社による買い取りが保証
されているのでしょうが、世田谷は、その<電気の質>を評価して、次の時代に向けてのパー
トナーシップで買おうとしているのですね。
でも、保坂さん、大きな発電施設の建設用地はないとはいえ、地域集中熱電併給施設(家庭で
個々に小型機を所有するのではなく、共用する)をつくったり、学校など公共建築の屋根や外
壁を太陽光パネルで覆ったりすれば、電力・メイド in 世田谷の可能性もおおいにあり、なの
ではないでしょうか。世田谷美術館の屋上に太陽光発電パネルが輝いたら素敵です -------
と、言いたいところですが、おそらく、そんなことはとっくに検討されていることでしょう。


最近、テュービンゲン市内路線バスの何台かに新しいキャンペーン広告が貼り付けられまし
た。
広告主は、swt(テュービンゲン市公益事業社 市が100%出資する有限会社組織)。
キャッチフレーズは、Null-Komma-Strom=ゼロ - コンマ - 電力。
そのココロは、節電 x 電力の効率的利用 x 再生可能エネルギー活用推進。


「Null-Komma-Strom=ゼロ - コンマ - 電力」は、2012年にスタートした市と公益事業社相乗
りプログラム。この広告は市民につぎのようなメッセージを送っています。
2014年までに市全体の電力消費を150万kWh削減しましょう。そうすれば、年間出力300kW
の発電所1基分の電力が浮きます。
公益事業社は、これまで地元での再生可能エネルギー源の発電所建設を推進してきました。今
もしています。しかし、それにはいつか限界がきます。
まだまだ節電ポテンシャルはあります。たとえば、照明や家電を買い替えること。
低所得者には省エネタイプの冷蔵庫購入のための補助金を用意しています。公社にも市役所に
も節電相談窓口があります --------


新しいキャンペーン広告
バスの背中にキャンペーンロゴ Null-Komma-Strom と並んで swt という文字が見えます。
テュービンゲン市民に、電気・ガス・暖房給湯用の熱・上水の供給、市内公共交通・駐車場・
市民プール・通信事業の運営を通して、日常生活の利便性を提供する公益事業体 Stadtwerke
Tübingen のロゴです。

このような、市民の税金をベースに運営される都市の公益企業はドイツ全国各地にあります。
19世紀末、都市の近代化を進めるべく、我が町の自立を守るべく、街路にガス灯を点し、町な
かを流れる川で電気を起こし、で始まった地方自治体の基盤づくり事業は、過去100年の間、
時代の趨勢のなかでその業務内容や運営形態を変えながら存続し、国づくりの母体となってき
ました。
1998年にドイツで電力市場が全面自由化された後も、大小さまざま、事業形態もさまざまな
パブリック・ユーティリティは元気です。

それまで小規模とはいえ1つのマーケットに1社独占で電気やガスを供給してきた自治体公益
企業にとって、市場競争、顧客獲得競争を伴う自由化は大きな事件でした。高圧送電網を持つ
大電力会社に対抗できるわけがない、低料金でオファーする新規参入事業者にユーザーを取ら
れてしまう、といった強いプレッシャーがあったようです。
実際、大電力会社に売却したりその傘下に入ることで保身を図った自治体がいくつもありま
す。いったんそうはしたものの、市民の声で買い戻したところ、近隣の他の公益企業と合併し
たところもあります。

いま、ドイツで電気を購入しようとすると、ユーザーは全国1015の販売会社が提供する4702
の契約メニュー(2012年現在)のなかから選ぶことになります。地域差があり、200社以上の
商品を検討できる地方、それが50社以下しかない地方、いろいろですが、いずれにしてもそれ
だけあれば、よりどりみどり、です。
1015社の内訳は、発電ー送配電ー販売を一貫(内部で分離)する事業者が854社、うち4社は
原発や火力発電所も自社で保有し国内外で大きく事業展開する大資本企業(日本の電力会社に
相当、その製品の販売のみを行う子会社も多数)、そして、うち800社近くが自治体の公益事
業体(多くが有限会社組織)、残り161社の多くは自由化後に参入した電力販売会社です。
4大資本で対産業・対家庭電力販売総量の80~90%を占め、残りのパイを小粒な事業体で分
け合っています。

1015社のほとんどが<再生可能エネルギー源の電力>商品を提供しています。
そのなかで、<ほんとにほんとのグリーンエネルギー>のみを専門に扱う事業者は、いまのと
ころ5社。主なエネルギー源を伝統的な小水力発電とし、それに風力源と熱電併給システム
源をミックスした、それぞれ独自性のある商品をおよそ110万の顧客に送っています。


電力自由化から14年が経ちます。
その間、さまざまな経験をしましたが、では、わたしはどんな電気をどこから買っているか、
そして、日本で何かと引き合いに出されているらしい脱原発によるドイツの電力料金高騰問
題、来月につづけたいと思います。


昨年4月、「Null-Komma-Strom=ゼロ - コンマ - 電力」キャンペーンのスタート時の広報ス
タンド。たくさんの情報が提供されました。

SWT



投稿者:森さん  カテゴリー:
2013年4月22日


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2011年夏から協会に参加。省エネ担当。技術開発出身で戸惑うことが多く、右往左往しています。ミステリー、オーディオとペットとの散歩が趣味。

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