窓から見える青い空。この空がいつまでも続くように、いろいろ考えたいエコのこと。というわけで、エコ先進国と言われるドイツ、デンマークにお住まいのおふたりにも参加いただき、エコについてのよしなしごとを楽しく気軽に、でも真剣に語り合います。
今日もエコ日和

デンマークの家


新しい年が明けました。2015年も、どうぞよろしく御願い致します。

森さんの住むドイツと同じように、デンマークも暖冬です。12月初めの天気予報では「ホワイトクリスマスになる確率は8%」でした。クリスマス・イヴの日は朝から厚い雲が空を覆って、夕方から雨。けれども、デンマーク中で人々は数々のろうそくが灯された温かい家の中で、集った家族とともに、御馳走に満腹して、たくさんのプレゼントを贈りあって、楽しい晩を過ごしました。翌日のクリスマスの日の起床はゆっくりめ。ところが目を覚ましたら、びっくり、窓の外は雪景色です。わたしは早朝から外出していましたが、電車に乗ったころから降り始めた雪は、どんどん積もり、広場で子供達がそり遊びができるほどになりました。


雪の日
雪が降ってから数日は気温が下がって、樹氷と白い大地の明るい美しい景色を楽しみましたが、残念ながらクリスマスの連休の後に雨が降り始めて、すっかり雪は溶けてしまいました。幸いに大晦日は雲が切れて、星空で新年を迎えました。元旦は青空。地球上では経済低迷だけでなく内乱や対立、異常気象による災害や飢饉そして疫病など、深刻な問題が終止に至らないまま、2015年を迎えましたが、晴天で始まる一年に、新たな希望を感じました。

澄んだ青い色の空と冷たい風には、東京の正月の風景を想い出します。東京の友達や知人を懐かしく思っているところへ、元硝子協会調査役の木原氏からメールが届きました。「黄色い家」というデンマークの絵本の紹介を読んで、関心を持っている高校の家庭科の先生から、その絵本が日本語に翻訳されていないので、内容を教えて欲しいとのこと。インターネット上で検索すると「1970年代に出版された、旧き良き絵本」と紹介されています。デンマーク語の原題は'Det gule hus'。絵本作家のGrete Janus Hertz(グレーテ・ヤヌス・ハーツ)が書いた文に、Iben Clante(イーベン・クランテ)が絵を添えています。1977年にCarlsen社から出版された本は好評で増版を重ね、本を読んで育った世代が大人になった2009年に再版されています。

表紙には「黄色い家」と書かれた看板のある黄色いレンガ造りの集合住宅が描かれています。デンマーク語のhus(家)は一軒家だけでなく集合住宅やオフィスビルを意味しています。絵本の「家」は黄色いレンガで造られた、1階2階と屋根裏に6戸の住宅のある集合住宅です。建物の正面玄関を入ると右左にひとつずつそれぞれ住宅のドアがあって、建物のまんなかは階段になっています。階段を昇って2階にも左右にそれぞれひとつずつ住宅のドアがあって、さらに屋根裏の3階も同じように左右にひとつずつ住宅があります。

絵本「Det gule hus(黄色い家)」の表紙は下記のサイトまで。
http://fortaellingen.dk/anmeldelse/grete-janus-hertz-det-gule-hus

絵本は6つの住宅それぞれに住む家族の物語です。ニールセン夫婦と小さなヤンくんの家では、お母さんは学校の先生として仕事に出かけて、ヤンくんの世話をして家事をするのはお父さん。オルセン夫妻は孫が訪ねてくると、オレンジを景品にして家族ゲームで遊びます。家族の様子だけでなく、子供達は長靴下をはいていて、お父さんはあごひげを生やして、北欧独特の模様が編み込まれたセーターを着ているなど、出版された1970年代のデンマークの家庭や人々の暮らし、社会事情が表現されています。現代の子供達には話を聞いても絵を見ても、6つの家族の様子を想像するのは、ちょっとばかり難しいかもしれないという評がありました。

黄色いレンガ造りの家は1970年代にはデンマークの住宅の典型でした。レンガの製造方法は中世にデンマークに伝わり、やがてデンマークの一般的な建設材料として普及しました。レンガを積んで造った家では、外壁は昼間に太陽熱を吸収し、気温の低くなる夜間には放熱して室内を温めるため、デンマークの気候に適しています。デンマークのほとんどの地方では、レンガの原材料である粘土を焼くと赤くなりますが、ユトランド半島の一部では青い粘土層があり、焼くと黄色に変色します。昔から今でも赤レンガが一般的ですが、青い粘土を焼いたレンガの色は均等で、レンガづくりの建物の外壁に美観のためにしっくいを塗る必要が無いので、1930年頃から装飾を省く機能主義建築の振興にともなって、建設材として好まれて使用されるようになり、都市部には黄色のレンガ造りの集合住宅がいくつも建ち並びました。デンマークの経済が潤った1950-70年代には、核家族の住む黄色のレンガの戸建て住宅の振興住宅地が拡大します。


黄色いレンガ造りの家
黄色のレンガを積んで
今日でも都市周辺にある多くの黄色のレンガの集合住宅に、たくさんの人々が住んでいます。正面玄関の中にある階段では、同じ「家」に住んでいる人々と出会 います。通りに面した正面玄関のほかに、複数の集合住宅が並んで建つ裏側にある共同の中庭に面して裏玄関があります。裏玄関の内側は狭い階段になってい て、各住宅「裏戸」があります。「裏戸」を開けるとキッチンですから、自転車置き場やゴミ収集所、洗濯ものの干場、児童の遊び場などのある中庭の利用が多 い女性や子供達にとっては、裏玄関の階段が通用路です。


集合住宅 中庭の共同洗濯室
集合住宅中庭共同洗濯室
1990年代にはデンマークの各都市で地域再開発が行われると、集合住宅群の中庭が人々の安らぎの空間として整備されました。環境に優しい街づくりを目指した再開発では、太陽光や太陽熱利用、雨水利用のための設備と緑の豊かな美しい中庭が設けられています。


太陽熱を利用した集合住宅
集合住宅太陽熱利用

冬至から一月ばかり。夕刻の明るい時間が長くなりました。気温が下がって、窓の外は雪が舞っています。





投稿者:福田さん  カテゴリー:
2015年1月22日


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2011年夏から協会に参加。省エネ担当。技術開発出身で戸惑うことが多く、右往左往しています。ミステリー、オーディオとペットとの散歩が趣味。

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南ドイツの小さな大学町テュービンゲンで「競争するより協同で」を教わりながら育つ。暮らしの中や旅路で出会う人たちの人生の多様性に魅了されています。

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