工務店・ガラス店のみなさま/スペシャルインタビュー

大きな窓で自然を取り込みたい

藤田義治(ふじた・よしはる)

1949年生まれ。東京の大学で建築を学んだ後、都内設計事務所に勤務。1977年、生まれ育った山梨県甲府市で山形一級建築士事務所を共同設立。2000年、代表取締役社長に就任。

山梨県内を中心に神奈川県や長野県などを含む関東・甲信エリアで、非住宅建築物を主に設計業務を行う。2014年からコンスタントに省エネ建築物に取り組み、医療・福祉施設、商業ビル、教育関連施設など幅広く設計している。ZEBプランナー登録。一級建築士

ハイレベルな性能を持たせ、未来に通用する建築をつくる

公共建築から病院、学校、店舗まで多様な建築物の設計を手掛けておられます。設計の基本に何を置いていますか。

実用性、です。カッコいいだけで中に入ると暑くて寒いような建物ではなく、クライアントに長く使ってもらえる建築をめざしています。

近年は“未来につながる建築”を考えますね。
国産材の使用やZEB、CO2排出量など、建築も数字で評価される時代になってきました。地球環境への影響や求められる耐震性能なども、従来よりハイレベルになっています。
そんななかで、数十年後の将来も通用するように。「あの頃は法律がゆるくて低い性能でもよかったが、今はそうじゃない」と言われない建築にしなければなりません。

ZEBプランナー登録もされています。性能面でとくに重視する要素は?

不可欠なのは耐震性能です。また、外壁の断熱性能についてはきっちり確保しています。窓ガラスなどはあとで換えることもできますが、壁の取り替えはそうそうできませんから。
それ以外はクライアントと譲り合いながら、いい方向にもっていく。イニシャルコストはどうしようもないところがあるので、予算次第ですね。

もし性能とデザインが相入れない場合はどうしますか。

性能を重視します。新型コロナウイルスへの対応と一緒ですよ。
デザインと違って性能に問題がある場合、クライアントは設計者のいないところで「寒い、暑い、ひどい設計者だ」と怒る(笑)それではいけない、そうならないように“良い加減”で設計していきます。

大きな窓で自然を取り込みたい-詳細写真01

築30年のRC3階建本社社屋でお話をうかがった。(撮影時のみマスクを外していただきました。以下同)

眺めの良い窓は建物の財産

窓や開口部についてはどのようにお考えでしょう。

窓は大きい方がいい。大きな窓が好きですね、開放感がありますから。つける方向によって庇で日射調整しています。

できれば西面にはつけたくないですが、それもケースバイケース。建物外観のメインになる方向だったり、眺めが良いーー八ヶ岳や甲斐駒ケ岳が見えるようなーーときには、西でも開口を取ります。
それは建物の財産だから。涼しい・暖かいといった熱的な快適さに対して、美しい風景を眺める心地よさや癒しが勝つときもあるのです。我慢できれば、ですが(笑)

その際には、Low-Eガラスやブラインド、ルーバー、庇を駆使して設計しています。もちろん、クライアントが西日にストレスを感じたりすれば話は別です。

店舗建築などの設計でも、ガラスを多く使っておられますね。

最近、とくにオフィス建築などは「オープンプランでガラス張りにしてほしい」との要望を多くいただきます。明るくていいのですが、廊下などはひえびえするので空調で補わなければなりません。省エネ建築にはならないけれど、仕方ない。

誰にとっても心地よく快適な建築を設計したいと思っていますが、ユーザーによって使い方も考え方も違うので、やはり難しいところです。

大きな窓で自然を取り込みたい-詳細写真02

社屋の西には荒川の土手が走り、その向こうに遠く南アルプスの山々が連なる。ガラス張りの会議室は、西面の大開口で眺望を取り込んでいる

大きな窓で自然を取り込みたい-詳細写真03

社屋南面にも多くのガラスが使われ、光と風景を迎え入れる

自然を取り込みパッシブに。それが環境建築

SDG’sなど、地球規模の環境に関する関心も高くなった時代です。藤田さんの考える“環境建築”とはどのようなものですか。

自然環境を内部に取り込む建築、でしょうか。窓ガラスを大きくとって外の借景を活かしたり、中庭や光庭をつくることで室内に自然を取り込む、そんなやり方がいいと思っています。

最近竣工したミュージアムのカフェは、室内とウッドデッキの間にガラスの折れ戸を入れて、内部から庭までつなげていましたね。

ただし、窓を大きく取れば熱負荷もかかります。
そんなときは例えばダブルルーフにしちゃおうとか、床を黒大理石にして蓄熱しようとか、いろいろ工夫しています。

自然を取り込むとは、日射熱や風などの力を借りることも含んでいると。

“パッシブである”ことが大事です。自然の力はあてにならない、それでも利用していくこと。

自然を取り込むことが、私たちの設計の特長でありポリシーですね。奇をてらうようなデザインは考えません。自然とともに誰にも親しんでもらえる、そんな環境建築を設計したいと考えています。

大きな窓で自然を取り込みたい-詳細写真04

竣工したばかりのミュージアムカフェで建物オーナーと。幅5m超のエコガラスの折れ戸建具で室内の床と同レベルのウッドデッキを隔て、デッキの先に庭が続く

取材日2020年12月16日
取材・文二階さちえ
撮影中谷正人
株式会社山形一級建築士事務所
社名
株式会社山形一級建築士事務所
URL
http://www.ymgt.biz/
住所
山梨県甲府市
社員数
9名
事業内容
建物の計画・設計・工事監理/地域計画・都市計画立案/ランドスケープデザイン/家具・インテリアデザイン/ZEB・省エネ建築物プランニング 等
エコガラス