事例紹介/リフォーム

ようこそ、我が家へ 〜都心の緑をリビングに招く高窓〜

開口部にこだわった新築レポート -東京都 W邸-

Profile Data
住宅形態 木造一部RC造地下1階地上2階
住まい手 夫婦+子ども1人
敷地面積 114.00m2
延床面積 125.38m2

ようこそ、我が家へ 〜天から降る、場と空間を支える光〜



今月の家を手がけた建築家:北川 裕記(北川裕記建築設計)


取材企画協力:OZONE家づくりサポート
<建築家選びから住宅の完成までをコーディネートする機関です>

土地の魅力を最優先して設計を開始

立地は一戸建住宅で主に構成される地域。道行く人の視線を考慮して窓が配置されている。
外からは見えない、2階南側に広がるテラス。夏場は息子さんのプール遊びで大活躍の場に。

東京都心の貴重な緑空間として知られる井の頭公園と玉川上水。この豊かな緑を魅力的に取り込む窓を、三鷹市のW邸に訪ねました。

お住まい手のWさんご夫妻は、同じエリアの賃貸マンションに住みながら、息子さんの誕生に合わせて新居のための土地探しに約2年半をかけました。めぐりあった敷地は、井の頭公園から少し入った住宅街の一角です。

周囲を戸建住宅に囲まれた角地での家づくり、その最初のイメージは?の問いに「環境がすごくいいので、設計していただくときにまずそれを知ってほしいと思いました」「公園が近いので、その空気感が伝わるような家を」とご夫妻。そろって家そのものより周囲の環境を口にされたことに、新鮮な驚きがありました。

OZONEを介して出会い、設計を依頼された北川裕記さんも「印象に残っているのは、Wさんご自身が敷地に立って撮影された風景の写真です。この土地の特別な条件を重視されているんだなあと思いましたね」それを一番に考えて設計をスタートしました、と振り返りました。


貴重な都心の水辺と公園…大きな緑に向かう窓

青空と玉川上水の緑が望める、ダイニングの高窓。外部の窓すべてに網なし防火ペアガラスが採用された。
キッチンの高窓には井の頭公園の緑。調理スペースの窓から周囲の様子も伝わってくる。
玄関吹抜けの窓では、西側の道路に沿って遠くまで視線が通る。その先にも緑が。

W邸最大の特徴は、リビングダイニングにつけられた2つの高窓です。東向きのひとつからは井の頭公園、北のもうひとつは玉川上水の緑を望むことができます。
家のそばにある大きな緑を普段の生活の中になんとか取り込みたい…住まい手と設計者のこの思いは、リビングの配置と窓の工夫によって見事実現されました。

目の前を生活道路が通り、隣家が近くに迫る住宅地では、窓辺のカーテンはどうしても一日中引かれがちです。しかしWさんは「ただ窓をつけても、通りに面していればブラインドを降ろしっぱなしになる。そうはしたくない、と設計の最初から相談していました」。

リビングを2階にし、さらに高窓にすることで周囲の視線をカットしプライバシーを確保。大切にしたい風景が、暮らしのメイン空間でいつでも目に入る"緑のピクチャーウインドー"ができました。
マンションの高層階に住んでいた頃と比較しながら「一戸建では、お隣の壁を眺めて暮らすことになるだろうと思っていましたが、その窮屈感がありません」と、奥様。

「もし同じ広さで角地の敷地が別にあっても、あの2つの緑を居ながらにして見られることは、まずないと思います」窓の開け方に検討を重ねた北川さんの言葉です。


光あふれる階段室が家族と空間をつなぎ合う

浅く掘られ、外部に直接開く窓を持つ地下の仕事スペース。自然光と通風が確保され、居住性が高い。
玄関から中2階の子ども部屋、2階リビングに続く階段。蹴込み板がないことで、より多くの光と視線が透過する。
子ども部屋から坪庭を見る。日光を受けて床や壁、階段室に映り込むシマトネリコの繊細な葉影が美しい。

W邸の骨格の基本はスキップフロア。デザイナーの職能を持つWさんのためにつくられた、蔵書を収めつつ仕事場としても使える地下室を基準に構成されています。
自然の光と風が入る地下空間は、限られた敷地で建物の必要なボリュームを実現するための重要な糸口となりました。

ここから上に向かって伸びる階段室は、W邸の中央部分にあたります。この階段を中心に大容量の納戸・1階寝室・坪庭・中2階の子ども部屋そして2階リビングと、床のレベルを少しずつ変えながら空間が連なり、積層されまとめられているのです。

上部に窓が切られた吹抜けの階段スペースは、坪庭やテラスとの仕切りにもガラスが使われ、地下室の入口まで自然光が落ちるもっとも明るい空間のひとつ。「せっかくある空間ですから、移動という最低限の機能以外に下にも光を届けてあげたい」と北川さんの言葉どおり、W邸の光井戸になりました。

さらにリビングと子ども部屋をつなぐ空間としても、ここは機能しています。
「生活の中心になるLDKと、それ以外に人がいる空間、たとえば子ども部屋とはゆるやかにつながっている方がいいんじゃないか、といつも思っているんです」と北川さん。
2つの部屋が、なにげない視線の交差や、夜には部屋の明かりで、ガラスを多用した階段室越しにつながり合う…そんな関係を編み上げました。

「朝は坪庭の窓越しに射し込む光で、階段室に木の影が映り込みます。すごくきれいなんですよ」ちょっと気に入っているんです、とWさんの笑顔です。


閉じるところはしっかり閉じる。メリハリある開口計画

大きな開口でも周囲の視線は気にならない。階段を上がった先のガラス扉から南側テラスに出ることができる。
寝室には、北と東の対角線上に縦すべり出し窓を配置。風通しのよい、落ち着いた空間だ。

多くの窓とガラスで光を透過させつつも、W邸の開口部について「外に対しては比較的閉じて、メリハリをつけています」と北川さんは語ります。

リビングの南側は、大きな開口がありながら周囲の様子があまり目に入りません。坪庭もテラスも「蓋をする形で外からは囲い、そちらに向かって室内を大きく開きました」住宅が密集する中にあって、開放感の保たれたプライベート空間となっています。

北と東のコーナーに縦長の窓がある1階寝室も、周囲の視線を考慮して意図的に閉じた、落ち着きのある部屋。
設計当初から「開きすぎない、明るすぎない家」を希望したという奥様は「上が明るいので、下は落ち着いたところにしたくて。寝室はリビングと並んで、家の中でも好きな場所です」。
白い壁全体に光がまわるリビングと対称的に、柔らかな色調におさえられた照明も、静かで健やかな眠りの場にふさわしい役目を果たしています。

家は、ときには堅固で安心できるシェルターであってほしいもの。常に明るく開いているだけではない、そんな空間も、当然ながら住まいの大切な要素ではないでしょうか。


柔らかな光に満ちた「明るすぎない家」

柔らかい光が回るリビング。正面の耐力壁や西側の壁に上向きの間接照明を設置し、天井部分は何もなくすっきりしている。
はめ殺し一枚ガラスの大開口から入る自然光が、リビングの穏やかな環境をつくり出す。網なしの防火ペアガラスは視界良好。

壁の白と、フローリングやダイニングテーブル、キッチンの吊り戸棚のダークブラウンで構成されたリビングを「すごく落ち着ける空間です」とWさん。プライバシーが守られている安心の感覚や、シンプルでモダンな家具のほか、空間の穏やかさを演出する光の計画もまた、大きな役割を果たしているようです。

夏場はもちろん、冬も床の一部分を除いて、リビングには直射日光が射し込みません。奥様は「以前住んでいたマンションは直射日光がガンガン入って疲れるほど(笑)紫外線も強くて、夏は大変でした」Wさんも「前はすごかったよね」とうなずきました。「明るすぎない家」は、その経験から生まれた希望だったのです。

同様に、西日を考慮して西側に窓をつけないことも、設計当初から変わらないご夫妻の意思でした。リビングの大きな壁には一直線に間接照明が走っています。
西に限らず、手元に明るさが必要なキッチンのダウンライトとダイニングテーブル上のペンダント以外、リビングの明かりはすべて間接照明。天井のもっとも広い部分には照明そのものがありません。
「間接照明をある程度明るくしておいて、後はスタンド等を使っていただければ。天井が高いときにはよく使う方法です」と北川さん。

4面すべてに開口を持ちながら、四季を通じて一日中、緑の眺めと柔らかな光だけを取り込むW邸。都心の密集地の住まいで得るには一見難しい、けれど大切な住環境の要素を、さりげなく、しかし高度な計画で静かに実現している空間でした。


取材・文:二階幸恵
撮影:渡辺洋司(わたなべスタジオ)

今月の家を手がけた建築家:北川 裕記(北川裕記建築設計) 取材企画協力:OZONE家づくりサポート <建築家選びから住宅の完成までをコーディネートする機関です>

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