事例紹介/リフォーム

柔らかな光が射し込む、窓いっぱいの明るい家

窓から快適、リフォームレポート -エコリフォームで魅力全開 大阪府 M邸 戸建て-

Profile Data
立地 大阪府南河内郡太子町
住宅形態 木造一戸建(1990年竣工/2002年一部改修)
住まい手 夫婦
間取り 5LDK+和室
リフォーム工期 2009年7月(2日間)
窓リフォームに使用したガラス エコガラス

柔らかな光が射し込む、窓いっぱいの明るい家




金剛山地の北端、太子町は「近つ飛鳥」の古名を持ち、推古天皇陵をはじめ多くの古墳・遺構が点在する歴史のまちです。
Mさんご夫妻はこの地に居を構えて20年。当初はふたりのお子さんとの4人暮らし、その後海外からのホームステイ希望者の受入先として外国人に住まいを開放し、国籍も文化も違う多くの「家族」とともに暮らしてきました。今は受入もひと休み、お子さんは独立されて夫婦水入らずの生活です。

自然に囲まれた高台、たくさんの窓・・・憧れの「明るい家」に思わぬ落とし穴が

太子町の東部、金剛山地へと連なる高台に建ち、見晴らしの良いM邸。

太子町の東部、金剛山地へと連なる高台に建ち、見晴らしの良いM邸。

窓から見える丘には太子町特産のワインの原料となる葡萄畑が広がる。

窓から見える丘には太子町特産のワインの原料となる葡萄畑が広がる。

和室を除く5つの居室のうち、ひと部屋以外はすべて2~3面採光。

和室を除く5つの居室のうち、ひと部屋以外はすべて2~3面採光。

掃き出し窓と出窓で明るい、ダイニングの南西側スペース。

掃き出し窓と出窓で明るい、ダイニングの南西側スペース。

万葉集にも詠まれた二上山(にじょうざん)の麓、ゆるやかな山並みと川、丘陵が広がるM邸周辺は、休日にはハイキング客が列をなす自然豊かな土地柄。ここに居を定めたMさんが望んだのは「窓が多くて見晴らしの良い明るい家」でした。
工務店から提案された図面に自ら手を入れて開口を増やし、トイレと洗面以外のすべての窓に透明ガラスを入れました。南側が斜面となった日当たりの良さも手伝い、文字通りの明るい家が完成したのです。

気持ちがいいねと喜んだのもつかの間、ほどなくこの「明るさ」が大きな問題になってきます。 窓から入る強い日差しに「暑さとまぶしさで寝てられへんのですよ」とMさん。他方、奥様は「夏はものすごく暑くて、冬はものすごく寒い。家の中より外の方が快適なんです」。

M邸はサッシの気密性が高く、ガラス窓を通ってくる熱が四季を通じて室内に保たれるしくみになっています。夏はたくさんある開口から直射日光が容赦なく射し込み、家は蓄熱して半温室状態に。
冬は冬で、山と川に囲まれたこの地域の年平均気温は大阪市内より平均3度ほど低く、とくに日没後は一気に寒さが押し寄せてきます。
「冷えも結露もひどかったですね。日当たりがいい分、昼間は外に出た方がぬくいんですよ」と奥様。いったん冷えた室内の空気を高気密のサッシがキープしてしまう皮肉な状況も、夏の暑さとともにエコリフォーム決断のきっかけになりました。


強い日射がエコガラスで柔らかな光に 電気代は60%もダウン!

北と東に窓が切られて明るいMさんの寝室。写真は東側の窓。

北と東に窓が切られて明るいMさんの寝室。写真は東側の窓。

ダイニングキッチン側を見る。リフォーム後は炊事のほかに夫婦でくつろぐ場にもなった。

ダイニングキッチン側を見る。リフォーム後は炊事のほかに夫婦でくつろぐ場にもなった。

西日の直射を受ける、シンク前の出窓。

西日の直射を受ける、シンク前の出窓。

そんなM邸の窓リフォーム実施は2009年の夏の盛り。「換える以上は徹底的にやろう」Mさんの意向のもと、水まわりや踊り場も含むすべての窓が単板ガラスからエコガラスに交換されました。「一番暑い時期だったんで、てきめんに違いが分かりましたね」と振り返ります。

強すぎた日射はエコガラスの窓を通ることで穏やかになり「お日さんの当たりが全然違う、ものすごく柔らかくて暑さを感じない。ひやーっとします。日がのぼってもゆっくり寝ていられる(笑)」とMさんが言えば、軽い喘息と花粉症のある奥様は「今までの夏は活気がありすぎて息苦しいくらいでしたが、今はすごくさわやかに起きられるんです」。
落ち着いて眠れるため睡眠不足が解消され、就寝のお供だったエアコンも不要になりました。リフォーム後は通気口のある雨戸を閉めて眠れるようになったそうです。

寝室ばかりではありません。南に掃き出し窓、西向きに2つの出窓がある台所は「夏場は居られないくらいの暑さ。冬も頭は日差しで暑いのに足元は冷えてたまらず、昼間はいつも自分の部屋に上がってました」とは奥様の言葉です。
エコリフォーム後は台所仕事が楽しくなって、今はずっと居るんですよ、とにっこり。

効果は具体的な数値にも表れました。エアコンの連続使用で月2万5千円を超えていた電気代が、エコリフォーム後は1万円程度にまで下がったといいます。
台所にある温度計による室温測定では、夜中の2時でも午後3時でも温度差はせいぜい1度程度。しかも西日がまともに射す部屋にもかかわらず、今年8月のもっとも暑い日の夕方6時で室温31度、との記録が出たのです。
電力会社の担当者から「(消費電力自体が少ないので)太陽光発電パネルを設置しても元がとれません」とのお墨付き?までもらったというM邸の、省エネ住宅への見事な変身ぶりです。


住まいの魅力を開花させたエコリフォーム 施工者のがんばりにも拍手

庭を望む、1階南向きの居間。北側に続き間の和室がある。

庭を望む、1階南向きの居間。北側に続き間の和室がある。

洗面・浴室・トイレの窓も、もれなくエコガラスに交換。

洗面・浴室・トイレの窓も、もれなくエコガラスに交換。

M邸のエコリフォームを担当した(株)信田屋の藤原さん。

M邸のエコリフォームを担当した(株)信田屋の藤原さん。

穏やかな物腰のMさんとオープンマインドな奥様の絶妙なハーモニー。

穏やかな物腰のMさんとオープンマインドな奥様の絶妙なハーモニー。

2階踊り場の窓からも柔らかな光が射し込む。

2階踊り場の窓からも柔らかな光が射し込む。

7年前に真空ガラスに交換した2つの出窓を除き、全部の窓をエコリフォームしたM邸。その効果をもっとも雄弁に語るのは「リフォーム前は家の中に居ても自分の体でわかったんですわ、表の温度が暑いのか寒いのか。それが、今はわからんのです」というMさんの言葉でしょう。 奥様も「友達に『昨夜は寝にくかったね』と言われても『え、そうお?』と言ってばかり」さらに「全部換えなければ(効果は)わからなかったでしょうね」と言い添えました。
ご夫妻の言葉は、全部の窓のガラス交換によって家全体が高断熱化したこと、日射熱による蓄熱等が解消されて、悩みだった季節ごとの室内温度の落差が解消されたことを示しています。

さらに、強すぎる日差しをエコガラスが和らげることで、それまで家じゅうに張り巡らされて眺望を遮っていたスダレが不要になりました。「窓が多くて見晴らしの良い明るい家に住みたい」という竣工当時の住まい手の願い、この家の持つ大きな魅力がエコリフォームによって開花したのです。

そして今回のエコリフォームの成功には、施工者のがんばりも一役買っています。
工事を担当した(株)信田屋は、住まい手の希望と住宅の立地、各々の窓のサッシの形状まで検討し、もっともフィットする3種類のエコガラスを選択・提案しました。
「まぶしさを和らげ、室内の温度を保ち、さらに日射熱を下げる。そこにサッシの見栄えも含めて考えました」と担当者の藤原裕志さん。

加えて1・2階合わせて19カ所もの窓があるM邸のこと、住まい手に「徹底的に換える」意志があったとはいえ、予算的には悩ましい面もありました。
そんな中、信田屋の南正助社長は、平成21年度の国の省エネリフォーム減税制度の利用を提案すると同時に、申請に必要な諸手続の代行業務をも引き受け、実行したのです。 施工者のこうした積極的なサポートも、性能面でも費用面でも住まい手が納得できるエコリフォームを実現する大きな要素ではないでしょうか。

豊かな自然環境に建つ、窓いっぱいの明るい家。多くの人が憧れるそんな家が人知れず抱えていた悩みを解決した今回のエコリフォームには、奥様いわく、ひとりの「予言者」がいたようです。
「以前ホームステイしていたスイス人の青年が言っていたんです。『自分の母国と同じように、今に日本中の家が複層ガラスの窓になる。絶対換えた方がいいよ』ってね。それが、ああ本当やなあと。今年もまた、遊びにくるんですよ」
目を細めて語るご夫妻のまぶたには、異国から帰ってくる「息子」を快適な住まいで迎えるその日が、すでに映っているようでした。


(株)信田屋

エコリフォーム成功のポイント
  • すべての窓をガラス交換した「徹底リフォーム」
  • 施工者からの積極的な提案と制度面でのサポート

バックナンバーはこちら

PageTop

エコガラス