事例紹介/リフォーム

ようこそ、我が家へ 〜家族の織りなすハーモニーが聞こえる〜

開口部にこだわった新築レポート -縦横自在に回遊できる家 東京都 M邸-


窓は、単なる家のパーツではありません。光の取り込み、風の通り道、断熱・防音、眺望、インテリアetc……と、 生活を快適に保つさまざまな役目をあわせもっています。そう、開口部にこだわるということは、生活にこだわるということ。 そんな生活にこだわるご家族のお住まいを拝見しました。


今月の家を手がけた建築家:小島 建一


取材企画協力:OZONE家づくりサポート
<建築家選びから住宅の完成までをコーディネートする機関です>

日の光、差し込むこだわりの音楽室

道路に面する東側。檜の門扉を配し、落ち着いたたたずまいをみせる。

道路に面する東側。檜の門扉を配し、落ち着いたたたずまいをみせる。

緑に挟まれたアプローチ。左手はガラスごしに南面庭をのぞめる。

緑に挟まれたアプローチ。左手はガラスごしに南面庭をのぞめる。

防音もバッチリの音楽室。床を低くしたぶん天井が高く、音響も抜群。

防音もバッチリの音楽室。床を低くしたぶん天井が高く、音響も抜群。

都心の一角に建つM邸。東西に広がるH型平面の建物です。
1階は音楽室とM様のおじさまの居住スペース、2階はLDK、水回りとご夫婦の寝室、3階は4人のお嬢さまたちの部屋と、二世帯7人が暮らしています。 1階は防犯と音楽室の防音のためコンクリート造、2、3階は木造という混構造です。

M様ご夫妻が、建築家の小島先生と出会ったのは、OZONE家づくりサポートのコンペでした。「音楽室のある二世帯住宅」という条件にそって 提案されたプランの中からM様ご夫妻が一目で気に入ったのが小島先生のもの。

「小島さんのプランは、生活のなかの私たちの細かな条件がクリアされていただけでなく、少し暗い通路を抜けると、 明るい玄関前の庭が広がるというアイディア、その玄関からガラス越しに中庭が見えるなど、 素人では考えつかない工夫もあって一目で気に入りました」とM様。いまでもコンペの模型は大事にしまってあるそうです。

ご家族のみなさんがこだわったのは音楽室でした。
自宅でピアノを教える奥様、音楽鑑賞を趣味とするM様、もちろんお子さまたちもともに音楽に親しんでいるご一家。 この音楽室は奥様の仕事場であると同時に、ご家族で音楽を楽しむ、憩いのスペースです。
そのためにいくつかの仕かけがあります。まず、音響のために床を一部下げて天井高をとり、この段差を階段にしました。 ときおり開くピアノの発表会やミニコンサートの際には、階段を椅子代わりにしているとか。くつろいで音楽を楽しめるのでみんなに大好評です。

「演奏する楽器によって、適した素材、防音の方法がそれぞれあります」と小島先生。もちろん、M邸はグランドピアノに合わせた仕様。 用途に合わせてきちんとつくりわけるのは注文建築ならではです。
また、「防音してある部屋」というと暗くて圧迫感のある部屋を思い浮かべがちですが、M邸は窓を複数もうけているので、とにかく明るい! 庭のグリーンが見えるだけでなく光も差し込み、開放感があるのもいいところです。
もちろん、防音のため窓も壁も扉も二重に。日常に音楽があるM様ご一家のための一室です。


広がりを感じさせる「2階リビング」

奥行きのあるベランダは2階リビングにはなくてはならないスペース。このまま西方向にある夫婦の寝室につながっている。

奥行きのあるベランダは2階リビングにはなくてはならないスペース。このまま西方向にある夫婦の寝室につながっている。

東西をつなぐスペースには本棚、電子ピアノ、ワインクーラーと家族のだいじなものを配置。

東西をつなぐスペースには本棚、電子ピアノ、ワインクーラーと家族のだいじなものを配置。

食にこだわり、キッチンを大事にしたいというM様ご夫妻。オープンキッチンで、家族のいる空間で料理をすることを選びました。キッチン上のトップライトも風と光の道として大活躍!

食にこだわり、キッチンを大事にしたいというM様ご夫妻。オープンキッチンで、家族のいる空間で料理をすることを選びました。キッチン上のトップライトも風と光の道として大活躍!

M邸では、プライバシーと使い勝手のよさから2階リビングをチョイス。
天井を高くとり、南面は開放感あふれる広々とした印象です。さらに大きな窓と高い位置にはめごろしの窓を設けたので、昼間は太陽光だけで電灯なしでラクラク過ごせる明るさです。
大きな窓の向こう側は奥行きのある広々としたベランダ。まさにリビングにつながる庭のような役割を担った家族のお気に入りの場所です。
「夏はビニールプールで娘たちが遊んだり、家族でバーベキューをしたりと、いろいろに楽しめるみんなの場所です」とM様。


安心して暮らせる骨太の家が欲しかった

玄関から中庭を望む。夏は繁った葉が日を遮り、冬は落葉して日が差し込む。快適さももたらしてくれるシンボルツリーは、エゴの木。

玄関から中庭を望む。夏は繁った葉が日を遮り、冬は落葉して日が差し込む。快適さももたらしてくれるシンボルツリーは、エゴの木。

「階段の板はあえて厚めにして重厚感を出してもらいました」

「階段の板はあえて厚めにして重厚感を出してもらいました」

南にはふんだんに窓を配置。木の囲いが自然な趣をかもしだしている。

南にはふんだんに窓を配置。木の囲いが自然な趣をかもしだしている。

仲良し四姉妹の下のお二人。末のお子さんはお引越後誕生と、まさに生まれも育ちもこの家です。

仲良し四姉妹の下のお二人。末のお子さんはお引越後誕生と、まさに生まれも育ちもこの家です。

一人ひとりが思い思いに過ごしながらも、家族の一体感が味わえる家がほしかったというM様。

そのため「骨太な家」にこだわったといいます。それは、「どっしりとなにがあってもゆるがない安定感のある家」。子どもたちが騒いでも、走り回っても安全で、ゆったりと見守っていたいという思いから生まれたこだわりです。なるほど、階段の厚い床板やドア仕様など、一つひとつのパーツが大ぶりで頑丈なつくりです。

そんな骨太の家に居心地のよさを加えているのは、縦にも横にも回遊できる仕組みです。
上下階をつなぐ、どっしりとした階段スペースは、まさに家の背骨。どのフロアからも、この階段スペースからは隣接した庭のシンボルツリーが目に入ります。
2 階には家族の憩いの中心であるリビングと、夫婦の寝室をつなぐテラスがあります。階段のある廊下と平行につくられたテラスは寝室との行き来だけでなく、洗濯物を干すこともでき、重宝しているとか。屋内と屋外を通じてゆるやかに家族が回遊できる仕組みが、ここにもあります。
加えて、居室に広がりをもたせ、隅々に光をめぐらし、空間に一体感を醸し出す開口部。この快適さはまさに大きな窓があってこそです。


家づくりのプロに質問します!
Q. 快適な「2階リビング」のコツは?

趣味は音楽鑑賞ということもあって、音響や防音についてのノウハウはかなりのもの。「趣味嗜好が同じ建築家に依頼すると細部へのこだわりが実現しやすいと思いますよ」

趣味は音楽鑑賞ということもあって、音響や防音についてのノウハウはかなりのもの。「趣味嗜好が同じ建築家に依頼すると細部へのこだわりが実現しやすいと思いますよ」

明るさとプライバシーの確保のため、2階リビングにするお宅が増えています。リビングが1階にあると、往来を気にしてカーテンを閉めがちですが、2階なら開口部として目一杯使うことができて魅力的ですからね。その場合、M邸のようにベランダやテラスなど、リビングからつながる外部空間をできるだけ広くつくることをおすすめしています。見た目で広がりがでるだけでなく、庭としての機能もあわせもつ空間になるので便利。シンボルツリーを2階からも見える背の高いものにするなど、緑を配置することができれば落ち着いて良いですよ。


今月の家を手がけた建築家:小島 建一 取材企画協力:OZONE家づくりサポート <建築家選びから住宅の完成までをコーディネートする機関です>

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