事例紹介/リフォーム

マンションぐるみの窓リフォームで「ガラス仲間」の輪ができた

窓から快適、リフォームレポート -京都府 I 邸-

Profile Data
立地 京都府京田辺市
住宅形態 RC18階建てマンション(1999年竣工、壁紙、フローリング張替リフォーム済)
住まい手 夫婦
間取り 3LDK
リフォーム工期 2010年11月
窓リフォームに使用した主なガラス エコガラス
工事費用 約40万円
利用した補助金等 住宅エコポイント


「マンションの共用部は変更不可」で、一度はあきらめた窓リフォーム

I 邸を含め、数百の住戸を数えるマンションは、広々とした中庭スペースに池もあるゆったりした住環境。
山手の風景が一望できる13階のバルコニー。

東に一級河川・木津川が流れ、西には生駒山系の山々が連なる京田辺市は、大阪府、奈良県と境を接し、古くから要衝として栄えたエリアです。

文化・経済の中心地として宅地開発や学園都市づくりが進むこのまちに、 I さんご夫妻が居を構えたのは1999年。鉄筋コンクリート18階建マンションの13階からは、桜の街路樹が続く街並や秋の紅葉も一望できます。

その眺望と裏腹に、窓には大きな悩みがありました。「それはそれはひどい結露で、入居直後から困り果てていました」と I さんは振り返ります。
東南のバルコニーに面した掃き出し窓と出窓、北側の寝室と家事室それぞれの腰高窓に流れるほどの結露がつき「スクイーズでの結露拭きは、毎日の屈伸運動でした(笑)」

あるとき「窓ガラスを換えれば結露が解決できる」との話を聞いた I さんは、早速ガラス屋さんに来てもらいます。見積まで取ったところで「マンションの窓のガラス交換は管理組合の許可が必要」とわかり、管理事務所に確認。
そこでの結果は…「窓は共用部なのでガラスの交換は不許可」だったのです。

その後も、毎日アイロンがけをする家事室のカビがひどくなって壁紙を張り替えるなど、結露との戦いは続きました。
しかし、困っていたのは I さんだけではなかったのです。
「結露で悩んでいる方はやはり多かったんですね。とうとうマンションぐるみでリフォームの話を進めることになりました」

壁紙張り替えからさほど時を経ない2010年8月、サン・ウインドトーヨー住器の高橋さんが I さんのマンションにやってきます。居住者向けの窓リフォーム説明会のためでした。
「結露関連の相談が増えたため、管理組合としても住戸ごとに工事をするより、マンション全体の強度や耐風圧、防火まで考えたリフォームをしたい、とのご要望がありました」と高橋さん。

I さんは「もう、必ずリフォームする気で説明会に行きましたよ。やっとその時が来た、ありがたい、という気持ちでした」と笑います。説明会ではガラス交換のほかに内窓の話も出て「いろいろな方法があること、どの窓にはどれがよい、といったことも、そのときに知りました」。

説明会から3ヶ月後、 I 邸の窓リフォームが実現します。ガラスを換えたいと最初に見積を取ってから、数年の月日が流れていました。


結露と寒さから解放され、気持ちがホッと温かく

バルコニーへの出入り口となっているダイニングの掃き出し窓。開け閉めの煩雑さを避けるため二重窓にはせず、ガラス交換を選んだ。
既存のサッシを生かし、単板ガラスだったところに真空ガラスをはめ込んでいる。
奥行きのある出窓には内窓を設置。左右の引き違い部分を開けるのは年に数回、魚を焼くときぐらいとのことで「二重窓の不便さは感じません」

リフォーム後のご感想は? の問いに「解放されたー! みたいな気持ちですよ。うちにはもう結露はないんだ、という発想で、まったく気にせず暮らしています」と明るい言葉が I さんから返ってきました。

工事では、バルコニーに面したリビングの2つの窓のうち、洗濯物を干すなど出入りの多い掃き出し窓は、既存のサッシをそのまま生かしてガラスを交換。
一方、出窓には高橋さんの提案で内窓を設置しました。「こちらの窓は結露防止と暖かさ重視と話したら、高橋さんが勧めてくれました。出窓の奥行きがあるので窓のレールが少し出ても気にならないし、不便さを感じることもないですよ」
「マンションのすぐ下を走る電車の防音も目的ですね」高橋さんが言い添えました。
同様に、北側の寝室と家事室も、効果重視で内窓設置を選択しています。

その後は結露の解消はもちろん、いろいろな形でエコリフォームの効果が現れてきました。
日常生活での暖房は、通常「リビングの床暖房だけです。手紙を書くなどでじっと座るときには電気ストーブを入れますが、それ以外は一切なしですね」
以前は「カーッと暑くなって不快( I さん)」に感じながらも仕方なく使っていたガスストーブは、今はしまい込まれたままです。

床暖房のない家事室でも寒さを感じることはないとのこと。「床暖房は家全体の温度が上がるからでしょうね」。内窓で気密性が高まって外の冷気が遮断され、家全体の室温も一定になっていることがうかがえます。

「リフォームしてから、気持ちがホッと温かくなった。そんな感じ」 I さんの言葉です。

寝室で内窓を開けたときの「あの、ひやーっとする体感。もし内窓がなかったら、この寒さがそのまま部屋にやってくる。ぜんぜん違うんだなあって思うんですよ」
窓が寒さから守ってくれている。そんな安心感こそが、なによりも I さんの心を温めているのかもしれません。


エコリフォームから生まれた「新しい縁」を楽しむ

サン・ウインドトーヨー住器の高橋さん(中央)との軽妙な会話が和やかに続く。ガラスが結んだ縁がここにも。

エコリフォームをきっかけに、 I さんの周囲には「ガラスコミュニケーション」とでも呼びたいような、人と人との関係が生まれています。

「マンションのエレベーターに乗ったら、誰とでもお話する人なんです、私(笑)窓のリフォームについて思っていることも『結露はなくなったし、よかったよ』と話します。言わずにおれへん性格なんですね」

そんな I さんには、同じマンションに入居する人々からしばしば「結露メール」が届きます。「まだ工事していない人が、『今日は寒いからけっこう窓に結露出たよ。』って知らせてくれるんですよ(笑)そんなときも、うちは大丈夫だなあという感じで」

ほかにも、リフォームを終えた住戸の人々が I さん宅に集まってお茶を飲みながらおしゃべりしたりと「ガラス仲間( I さん)」の輪が広がっているようです。

高橋さんも「別の用事でこのマンションに来たら、工事されたお客さまが通りかかって、私の顔を見るなり『ぜんぜんぬくいよー』って声をかけてくださいました。本当にやってよかった。 I さんがお話を伝えてくれているからですよ」とにっこり。

困りごとを解決して快適さを生み出すエコリフォームにマンション全体で取り組んだことが、数百戸を擁する大規模なコミュニティの中にほんのり温かい新たなつながりをつくり出している…。そんな不思議にうれしい風景のまん中に、 I さんがいるようです。

「リフォームしてよかった、そう感じた事実を、ただ言いたくなるんです。そんな気持ち。"いいこと" はね、自然と伝わっていくものなんですよ」


サン・ウインド株式会社


取材日:2011年12月13日
取材・文:二階幸恵
撮影:中谷正人
エコリフォーム成功のポイント
  • マンション全体のリフォームの機運を積極的に活用
  • 使い勝手か効果重視かを見極めて工事方法を選ぶ
  • 積極的に情報発信し、コミュニティに貢献

= お役立ち情報 =

2004年のマンション標準管理規約改正では、
住まい手自身の判断によるガラス改修工事も可能とする内容が盛り込まれました。

詳しくはこちらをご覧下さい。

「中高層共同住宅標準管理規約の改正について」(国土交通省)


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