事例紹介/リフォーム

図面を持ってガラス店へGO
ポジティブエコリフォームのススメ

静岡県 Y邸

Profile Data
立地静岡県浜松市
住宅形態木造2階建(1996年竣工)
リフォーム工期2018年12月(一日間)
窓リフォームに
使用した主なガラス
真空ガラス

静岡だって、暑くて寒い! 結露にも悩み

ものづくり、そして楽器のまち浜松市は、遠州灘・浜名湖・天竜川と豊かな自然に恵まれる土地。日照時間の長さは全国有数です。
その一方で、冬は『遠州のからっ風』の異名で知られる強い北西風が吹くため、気温以上に寒さを感じる土地でもあります。

訪ねたY邸では、家族が集まる1階LDKと主寝室である和室の窓をエコガラスに交換しました。

窓の結露と寒さとが長年の悩みでしたが、奥様は「しかたがないと思っていました」ご主人は寒がりで、石油ファンヒーターの設定温度を30℃にしていたといいます。それでもおさまらず、窓辺にはいつも厚いカーテンをひいていた、と振り返りました。

招き入れられたリビングダイニングは、窓の存在が際立つスペースです。南向きの掃き出し窓は幅2.6m近い大開口、東面にも大きな窓がふたつ並んでいます。
明るくて気持ちがいい反面、以前はどの窓も断熱力が低いシングルガラスで、大きなガラス面を通じて外の冷気がどんどん入り込む状態でした。同時に暖かく湿った室内の空気が冷えたガラスに触れることで、カーテンにカビが生えるほど激しい結露が発生していたといいます。

夏の暑さにも悩まされていました。

もともと日照時間が長い上、和室西面には庇のない窓があって厳しい西日にさらされていました。その熱に耐えかね、いまは一年中雨戸を閉めたままにしているというのです。
せっかくある窓を、閉めっぱなしにしたいはずはありません。奥様は「もちろん、本当は開けたいですよ。家中に風を通したいですから」

温暖で暮らしやすいイメージのある静岡ですが、どんな土地にも住まなければわからない気候風土があります。そんな中で、窓の性能も暮らしに少なからぬ影響を与えています。

図面を持ってガラス店へGO ポジティブエコリフォームのススメ-詳細写真02

ダイニングテーブルでお話をうかがった。奥に掃き出し、東面に2箇所の窓がある。壁に対して開口部の面積が大きく、シングルガラスが入っている状態では室内と外部空間での熱の出入りが激しくなり、冬は寒く、夏は暑くなりやすい。リフォーム工事を担当した平野硝子の平野尚司社長にもご同席いただいた

図面を持ってガラス店へGO ポジティブエコリフォームのススメ-詳細写真03

天竜川右岸に広がる住宅地がY邸のロケーション。建物の西側には引込の道が通り、西日が遮られず直射するため暑さが厳しい。1階和室の窓は一年を通じて雨戸が閉められている

室内リフォームのチラシでエコガラスと遭遇 図面持参でガラス店へ

暮らし始めて22年目の窓リフォーム。けれどYさんご夫妻は当初、エコガラスについてご存知なかったといいます。
「ペアガラスという言葉は聞いたことがありました。でも“うちには関係ないね”と。結露の改善に効果があると思っていなかったし」

エコガラスに出合ったきっかけは“カーテン”でした。カビで傷んだカーテンの交換と室内のリフォームを検討していたとき、目にしたチラシ広告に“エコガラスは部屋の断熱や防音に効果あり”とあったといいます。

結露に効くのなら、やってみたい。でもその前にエコガラスそのものを直接見たい…そんな思いで夫妻は市内のガラスプロショップ・平野硝子を訪ねました。
「平野さんには、10年前に浴室のルーバー窓を工事していただきました。断熱ガラスについてもおわかりだろうと思って」

竣工時の我が家の図面も持参し、フットワーク軽い訪問です。

図面を見ながらおふたりの話を聞いた平野さんは、その場で①真空ガラスに交換②エコガラスの内窓設置③アタッチメント付エコガラスに交換、の3種類のリフォームを提案。それぞれの長所短所も説明して、検討用のカタログも提供しました。
夫妻はそれを持ち帰り、再検討した上で正式発注したのです。

電話やメールでの相談ではなく直接販売店に赴くことには、いくつかのメリットがあります。

ひとつは、気になっている複数のガラス製品を自分の目で確かめられること。
エコガラスを扱う多くの販売店は、性能を体感できるサンプルやデモ機を持っています。白熱電球やコールドスプレーを使った簡単な性能実験で、エコガラスの性能をその場で体験できるのです。

もうひとつは、プロの提案をより迅速に受け取れることでしょう。
通常、電話やメールで相談を受けると、販売店は日を改めて現地に行き、窓の状況を確かめたり採寸をしてから、改善提案や見積もりを作って相談者に提示します。
一方、図面持参で直接お店を訪ねれば、販売店側は話を聞きつつその場で提案やある程度の見積もりが出せます。カタログとともにそれを持ち帰り、デモ機の体感も思い出しながら再検討できるのです。
他社との比較も含め、正式な依頼までの時間短縮につながりそうです。

平野さんからの3つの提案を受けてYさんご夫妻が選んだのは、エコガラスの一種である真空ガラスへの交換でした。
「開け閉めが2回になる内窓は、選択肢にありませんでした」と奥様は言い、ご主人は「その時点で一番性能が高いと思ったものを選びました」と振り返ります。

さらに奥様は「真空ガラスのカタログはデータの数値などが明快で、他とも比較しやすかったです」とも。まかせきりにせず自ら積極的に情報収集・検討を経ての、納得の選択です。
発注者として参考になる姿勢ではないでしょうか。

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カーポート越しに前面道路を向いたリビングの掃き出し窓。部屋の内部が見えづらくなるエコガラスのミラー効果がよく出ている

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リビング側からDKを見る。3つの窓からの自然光がまわり、レースのカーテンを引いていても昼間は照明要らずの明るさ

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既存サッシを生かした真空ガラスへの交換リフォーム。視覚的には、ガラス内部に並ぶ厚さ0.2mmのマイクロスペーサーと真空層を保護するため付けられる直径15mmの丸いキャップ以外、リフォーム前と変わるところはない

速く効いて涼しさが持続するから、冷房スイッチはすぐにオフ

リフォーム工事は2018年12月、1日で終わりました。既存サッシはそのまま生かしてガラスだけを入れ替える“ガラス交換”と呼ばれる工事です。
その後は結露がなくなり室内が暖かくなったほか、電気料金が下がって“目に見える省エネ”も確認されたといいます。

「リフォーム前はファンヒーターとホットカーペットを併用していましたが、カーペットを使わなくなりました」結果、1月と2月の電気料金が前年同月比で11~24%もダウン。
体感面でも、以前は就寝時に寒さ対策で閉めていた和室の雨戸が、お役御免になりました。

初めて迎える夏への期待もふくらみます。

すでに今年の梅雨は、毎年困っていた結露も見られなかったとのこと。
さらにYさんは「ちょっと暑かった日に冷房をかけたら、すぐに寒くなって止めたんですよ」その後は就寝まで窓を開けずに過ごしたといい「一度冷えたら、それが持続する感じでした」とにっこりしました。
涼しく冷やされた室内の空気が大きな窓から外に流れ出ないよう、エコガラスがしっかり守っているようです。

エコリフォームを経験した“先輩”としてのアドバイスもうかがいました。

「最初はお金がかかるけれど、やはり家の快適さは大事。家族が一番長く過ごす部屋を初めに換えてみるのがいいと思います。あとは様子を見ながら、ほかの部屋についても考えればいいのでは」とYさん。
Y邸のエコリフォームも今回は1階部分だけで、2階の子ども部屋は対象外です。

奥様からは「エコガラスに関する情報は、本当になかったです。インテリア関連のショールームなどにカタログが置いてあればよいかも」と貴重なご意見が。エコリフォームを検討している人の身になっての目線でしょう。

さらに「やっぱり重くなりますね」とも。
2枚のガラスがセットになっているエコガラスの重量は、単純に考えてシングルガラスの倍になります。とくに既存のサッシを生かす場合は、傷みやすい戸車の調整や交換など、スムーズな開け閉めにつながる工夫も合わせて相談するとよいかもしれません。

取材を終えて玄関を出ると、和室の掃き出し窓の外には奥様が丹精する朝顔が元気に育っていました。グリーンカーテンが花々で彩られる夏、エコガラスの活躍がまた始まります。

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リビング東面は出窓で、幅40cmの広々とした窓台が家族の写真を飾る舞台になっている。リフォーム前はこの窓の結露がとくにひどかった、と奥様。ガラス面が壁から突出していて外気にさらされやすい、同様に突き出ている窓台部分に断熱材が入っていないことが多く外の熱が伝わりやすいなど、出窓には知っておきたいポイントも多い

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グリーンカーテンはエコガラス窓の強力なサポーター。夏の熱い日射の遮断には、スダレやヨシズといった“外部遮蔽”が室内ブラインド以上に効力を発揮する。なかでもグリーンカーテンは植物の蒸散作用によって葉の温度が上がらず、日射遮蔽の優等生。エコガラスと力を合わせて外部の熱をしっかり遮ってくれる

取材協力平野硝子株式会社
URLhttp://www.wakuwaku-glass.com/
取材日2019年7月17日
取材・文二階さちえ
撮影中谷正人
エコガラス