温暖化促進物質排出抑制のために
毎年、2月中旬を過ぎると、早朝の起床が容易に
感じられて日の出が早くなったことに気づきます。晴れの日には、日射しの明るさが増したことが感じられるし、午後の明るい時間が延びて、屋外の活動に十分
な時間が取れるようになります。『やはり温暖化で暖冬かな』と冬にしては温かな日々に心も身体も緩んだところへ、北極圏からの、シベリアからの冷たい空気
が流れ込んで、本格的な冬の寒さが戻ってきました。
寒くても、晴れ上がって、透き通るような青空が気持ちよく、週末の森では散歩に来た家族連れやシニアのカップル、ジョギングをする人々などに出会いまし た。私たちはマスが上ってくる小川へ自転車で。外海で大きく育ったマスが毎年冬に戻ってくることを知っている釣り人の姿が川辺にちらほらと。川岸には水の しぶきが凍ってできた透き通った氷の玉が草木から垂れ下がっています。氷点下10℃の冷えた夜が、川辺に美しい神秘的な芸術を創作しているのかと思うと、 自然の不思議な力を感じます。私たちも水の流れがうねって魚が隠れていそうなところへ釣り針を投げながら、行ったり来たりしている間に、毛糸の帽子や防寒 のコートの細かな編み目を冷たい空気が通って皮膚まで届いて来ました。もう少し寒さを我慢して夕暮れまで待っていたら、カワセミが見られたかもしれませ ん。
小川に行く途中に地域の廃棄物焼却場があります。とても高い煙突の先に赤いペイントが施してあって、遠くからでも、その煙突が焼却場のものだと良くわかり ます。自転車で遠出をするときには、どこにいても、この煙突が見えたら、自宅に近づいたことを知る目印にしています。冬の寒い日には、モクモク白く立つ煙 が特にはっきりして見えます。廃棄物焼却の熱は地域暖房用のエネルギー源に利用するほか、ダイオキシンのような有害な物質は取り除いていますから、煙は余 剰の蒸気なのですが、もちろん二酸化炭素が含まれています。自転車を走らせながら、ぼんやりと『温暖化促進』について思いをめぐらせたりして。寒い日に白 く見える息もわずかながら温暖化の促進ですが、氷点下の日には息が凍って、温暖化について思う余裕がありません。
デンマーク政府は温暖化促進物質排出量を削減するために、様々な対策を設けてきましたが、電気自動車が一般消費者でも利用できるようになってきた近年は、 電気自動車の利用普及のために自動車購入時にかかる諸税の減税制度などの優遇措置を設けています。地方自治体ではおける事務や事業における廃棄物排出量の 削減やエネルギー利用の効率化が政策で義務づけられているため、その対策のひとつとして、業務用車両に電気自動車を導入したところもあります。ホームヘル パーが高齢者訪問に利用する小型車両は典型的な例ですが、コペンハーゲンでは旧市街の掃除用の車両も電気自動車です。
テレビのニュース番組では電気自動車について紹介する特番もあるほどで、排気ガスの出ない自動車への一般的な関心が高まったように思えます。都市と地方で 全く普通のデンマークの男性と女性が電気自動車を一週間使用するという、電気自動車の実用性を試験した番組もありました。ユトランド半島に住んでいて、自 動車で長距離通勤をしている女性の場合、バッテリーの能力が低下しないように走行速度に気をつけて運転していましたが、それでも、テスト期間中に2回も通 勤途中でバッテリーが切れてしまいました。都市における短距離走行が目的での電気自動車利用には問題は無かったようです。
ところで、デンマークには自動車製造メーカーが存在しません。そのためか、自動車技術の開発が一般の研究者によって進められていて、過去に幾つもの電気自 動車開発が行われてきました。1980年代には小型のひとり乗りの電気自動車が生産されて、1990年代半ばくらいまでは、ときどきコペンハーゲンの街中 で小さな自動車が走っているのを見かけることがありました。また、デンマーク工科大学では代替エネルギーを利用した自動車エンジンの開発などの研究も行わ れていて、太陽電池の自動車レース世界大会への参加を毎年続けています。2009年にはスカンジナビアの隣国であるノルウェーで小型の電気自動車の生産が 開始され、同年コペンハーゲンで催されたデザインフェアに展示され、注目を浴びました。
デンマークへも寒波が押し寄せた先週は、ノルウェーやスウェーデンの北極圏に近い地方では、観測史上最低の氷点下40℃以下まで気温が下がったと聞きまし た。通勤で出かける人や、運送用のトラックの運転手がエンジンをスタートさせるために温めている様子をデンマークのテレビで報道していました。地球的な温 暖化とは言え、依然として厳しい冬に見舞われる北欧で、電気自動車の実用性はいかに。
大雪が降って交通網が混乱するたびに、ラップ地方のトナカイの雪橇や、グリーンランドの犬ぞりが、どうも魅力的に思えてしまうのです。
寒くても、晴れ上がって、透き通るような青空が気持ちよく、週末の森では散歩に来た家族連れやシニアのカップル、ジョギングをする人々などに出会いまし た。私たちはマスが上ってくる小川へ自転車で。外海で大きく育ったマスが毎年冬に戻ってくることを知っている釣り人の姿が川辺にちらほらと。川岸には水の しぶきが凍ってできた透き通った氷の玉が草木から垂れ下がっています。氷点下10℃の冷えた夜が、川辺に美しい神秘的な芸術を創作しているのかと思うと、 自然の不思議な力を感じます。私たちも水の流れがうねって魚が隠れていそうなところへ釣り針を投げながら、行ったり来たりしている間に、毛糸の帽子や防寒 のコートの細かな編み目を冷たい空気が通って皮膚まで届いて来ました。もう少し寒さを我慢して夕暮れまで待っていたら、カワセミが見られたかもしれませ ん。
小川に行く途中に地域の廃棄物焼却場があります。とても高い煙突の先に赤いペイントが施してあって、遠くからでも、その煙突が焼却場のものだと良くわかり ます。自転車で遠出をするときには、どこにいても、この煙突が見えたら、自宅に近づいたことを知る目印にしています。冬の寒い日には、モクモク白く立つ煙 が特にはっきりして見えます。廃棄物焼却の熱は地域暖房用のエネルギー源に利用するほか、ダイオキシンのような有害な物質は取り除いていますから、煙は余 剰の蒸気なのですが、もちろん二酸化炭素が含まれています。自転車を走らせながら、ぼんやりと『温暖化促進』について思いをめぐらせたりして。寒い日に白 く見える息もわずかながら温暖化の促進ですが、氷点下の日には息が凍って、温暖化について思う余裕がありません。
デンマーク政府は温暖化促進物質排出量を削減するために、様々な対策を設けてきましたが、電気自動車が一般消費者でも利用できるようになってきた近年は、 電気自動車の利用普及のために自動車購入時にかかる諸税の減税制度などの優遇措置を設けています。地方自治体ではおける事務や事業における廃棄物排出量の 削減やエネルギー利用の効率化が政策で義務づけられているため、その対策のひとつとして、業務用車両に電気自動車を導入したところもあります。ホームヘル パーが高齢者訪問に利用する小型車両は典型的な例ですが、コペンハーゲンでは旧市街の掃除用の車両も電気自動車です。
ノルウェーで開発および製産されている電気自動車
テレビのニュース番組では電気自動車について紹介する特番もあるほどで、排気ガスの出ない自動車への一般的な関心が高まったように思えます。都市と地方で 全く普通のデンマークの男性と女性が電気自動車を一週間使用するという、電気自動車の実用性を試験した番組もありました。ユトランド半島に住んでいて、自 動車で長距離通勤をしている女性の場合、バッテリーの能力が低下しないように走行速度に気をつけて運転していましたが、それでも、テスト期間中に2回も通 勤途中でバッテリーが切れてしまいました。都市における短距離走行が目的での電気自動車利用には問題は無かったようです。
ところで、デンマークには自動車製造メーカーが存在しません。そのためか、自動車技術の開発が一般の研究者によって進められていて、過去に幾つもの電気自 動車開発が行われてきました。1980年代には小型のひとり乗りの電気自動車が生産されて、1990年代半ばくらいまでは、ときどきコペンハーゲンの街中 で小さな自動車が走っているのを見かけることがありました。また、デンマーク工科大学では代替エネルギーを利用した自動車エンジンの開発などの研究も行わ れていて、太陽電池の自動車レース世界大会への参加を毎年続けています。2009年にはスカンジナビアの隣国であるノルウェーで小型の電気自動車の生産が 開始され、同年コペンハーゲンで催されたデザインフェアに展示され、注目を浴びました。
デンマークへも寒波が押し寄せた先週は、ノルウェーやスウェーデンの北極圏に近い地方では、観測史上最低の氷点下40℃以下まで気温が下がったと聞きまし た。通勤で出かける人や、運送用のトラックの運転手がエンジンをスタートさせるために温めている様子をデンマークのテレビで報道していました。地球的な温 暖化とは言え、依然として厳しい冬に見舞われる北欧で、電気自動車の実用性はいかに。
大雪が降って交通網が混乱するたびに、ラップ地方のトナカイの雪橇や、グリーンランドの犬ぞりが、どうも魅力的に思えてしまうのです。