窓から見える青い空。この空がいつまでも続くように、いろいろ考えたいエコのこと。というわけで、エコ先進国と言われるドイツ、デンマークにお住まいのおふたりにも参加いただき、エコについてのよしなしごとを楽しく気軽に、でも真剣に語り合います。
今日もエコ日和

Wild North



3月初め、早春の節分草が「さようなら」。待雪草は、すっかり雪を待ち疲れ。クロカッスの花が咲いて、水仙のつぼみがふくらんで、デンマークに春の足音が近づきました。

北欧は暖冬でしたが、2月初めには雪や氷を少しは期待したものです。それで、3月のスキー旅行を計画しました。今年は「クロスカントリースキーも!」という我が家のデンマーク人の希望で、ノルディック競技の地元であるノルウェーへ行くことにしました。


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ノルウェーのスキー場まで、コペンハーゲンから直行のバスは、土曜日の夕方に出発し、ウアスン海峡をフェリーで渡ると、スウェーデンの西海岸を北へ、夜の暗い道を静かに走ります。

翌朝6時ごろ、眼を覚ますと、まだ暗いけれども窓の外には雪が降って積もっていました。早春のデンマークを出発して、一眠りしたらスウェーデンの中部は冬景色です。バスがなだらかな坂道を登りだし、空が明るくなり始め、スキー場が近づいて、子供達は眠そうな瞼を開いたら「ああ、雪が降っている!」。どんどん降る雪に感動したのでしょう、「白い雪がふわふわ舞って、ふんわり柔らかく積もっていく」と8歳くらいの男の子がつぶやきました。この冬、コペンハーゲンでは雪がなかったのです。


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白い大地での楽しい一週間へ期待の胸を弾ませた子供たちや大人たちがスウェーデンのスキー場でバスを降りると、ノルウェーへ向かうのは私たちと二人の運転手さんたちだけになりました。針葉樹の森の山道に、降っては積もる雪がますます増えます。1時間ほど白い風景の中を走ると、大きな雪山が迎えてくれました。

白い丸い山の頂上
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スキー場に到着した日曜日に、デンマークでもノルウェーでも新型ウィルスの感染者数は100名程度でした。デンマーク外務省は「国外への旅行は慎重に」、旅行保険への加入などを促していました。
翌日の月曜日、新雪上のスキーを楽しんで宿舎のアパートへ戻り、のんびりしてテレビでも見ようとスイッチを入れると、ノルウェーの感染者は200名弱まで急増したというニュース。気分は緊張へ一転。
火曜日にはデンマークの感染者700名ほどまでに急増、必要でない国外への旅行は控えるように促すデンマーク保険庁の告知がありました。
水曜日にはデンマークでもノルウェーでも感染者が800名を超え、デンマーク政府は金曜日から2週間、全国の学校閉鎖、官公庁では最小限の勤務者以外は在宅勤務などを決定、一般企業へも可能な限りの在宅勤務を促しました。

青空に笑顔
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木曜日は朝から晴れて、白い雪山が青空に美しい1日になりました。あちらの斜面、こちらの斜面、リフトで昇っては滑り降り、太陽が山の西側に隠れて空気が冷たくなるまでスキーを楽しみました。夕暮れ時に、アパートで気分良くのんびりしていると、翌日からスキー場が閉まるという連絡を受けました。唐突な知らせに驚いて「リフトは停まっても、クロスカントリースキーをするから大丈夫、予定どおりに日曜日まで滞在します」。けれども判断が正しかったのかどうか、緊張と不安でいっぱい。念のため、スキー場の受付に確認すると、ノルウェー政府の方針に沿う地元自治体の決定だと、事情の説明がありました。そうかと気分を取り直してアパートに戻ると、携帯電話にデンマーク外務省からの緊急情報です。「国外にいるデンマーク人はなるべく早く帰国するように」。急いで、旅行会社へ帰りのバスについての確認を取ったり、外務省の旅行者登録をしたり。


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金曜日と土曜日は、青空の素晴らしい天気になりました。リフトが停まって、スキーヤーが姿を消したゲレンデを眺めるのは不思議なものです。麓のゆるやかな斜面では、小さな子供達のいる家族がそり遊びをしたり、スキーを履いた子供がお父さんに引っ張られて登っては滑り降り、登っては滑り降り。「Fun Park」ではゲレンデを歩いて登って行った若者がスノーボードを楽しんでいて、ときどき笑い声が白い大きな空間に響きます。

私たちはクロスカントリースキーのルートを辿って、雪化粧の森の景色を楽しみました。坂道を登れば登るほど、樹木の数が減り、積雪量が増し、空気が冷たくなって、スカンジナビアの厳しい自然を感じます。坂を汗をかきながら登って行ったら、針葉樹の合間から白い山の丸い頂上が見えました。まるで「よくきたね」とにっこり笑顔をのぞかせているようでした。


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スキーヤーのほとんどが去った後、スキー場はすっかり閑散として、人の集まる都会からは離れて、山地に隔離されているように感じました。ここにあるのは大きな自然だけ、ノルウェーやデンマークや世界中での緊急事態が、非現実的なようにも思えました。けれども緊急事態は事実で、いろいろな国々から様々な人々が訪れるこのスキー場は世界の小さな一部であり、危機に陥る危険はあるのです。

冬になって雪が降って積もったら、スキーをしたり、そり遊びをしたり、氷が張ったらスケートをしたり、夏には緑の間をぬってハイキングをしたり、ランニングをしたり、自転車で走ったり、海で泳いだり、いつでも自然は私たちを受け入れて、しかも喜びと幸せへ招いてくれます。美しい風景と豊かな緑と新鮮な空気は、私たちへの自然からの恵みです。

クロスカントリースキーのルートの坂の頂点にたどり着くと、青空と遠くの山々を見渡す、美しい景色がありました。帰りは下り坂を一気に滑り降り、「この感動を体験するために、一生懸命、山を登るのだね」と納得。


IMG_0391遠くの山々.JPG

土曜日にデンマーク、日曜日にはノルウェーが国境を閉鎖し、迎えのバスが来られるのかと不安でしたが、日曜日の朝から降り続いた雪が、ようやく夕刻に止んで、私たちだけを残して、誰もいなくなったスキー場の暗い駐車場に、とうとう待っていたバスが現れました。予定どおりに帰途につき、車内で夕食のサンドイッチを食べ終えたら、やっと緊張が和らぐのを感じました。雪解けのスウェーデンを通って、月曜日の朝に無事にデンマークに入国したのです。

誰もいないスキー場に別れを告げて
IMG_0394誰もいないスキー場に別れを告げて.JPG

一日も早く、新型ウィルスの感染が抑制されますように、ワクチンが開発されますように。そして、感染して闘病中の方々が、癒されて、健康を回復することができますように。





投稿者:福田さん  カテゴリー:
2020年3月19日


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