窓から見える青い空。この空がいつまでも続くように、いろいろ考えたいエコのこと。というわけで、エコ先進国と言われるドイツ、デンマークにお住まいのおふたりにも参加いただき、エコについてのよしなしごとを楽しく気軽に、でも真剣に語り合います。
今日もエコ日和

緑の森の歴史を探索


もう夏は来ないのかと思いましたが、急に17-18℃から30℃にまで気温が上昇しました。サハラ砂漠の熱い空気がデンマークまで流れ込んだのだそうです。森さんの住んでおられるドイツでも暑くなったようですね。フランスの友人は38℃まで気温が上がったと話していました。デンマークではその夏の暑さも一週間だけ。7月だというのに、20℃前後の日が続いています。
 
それでも6月に比べると雨が少なくなって、青空が広がり、太陽が輝いて、夏の花が咲き始めました。庭の植え込みには立派なバラの花、赤いベコニアや香りの良いラベンダーも。緑地や路地には、たくさんの種類の野の花。庭園や広場、並木の菩提樹の花も咲いて、甘い香りを漂わせています。

養蜂を始めた頃、菩提樹からは良い蜜が採れるのだと聞いて、とても興味をそそられました。シューベルトの歌曲の「冬の旅」の「菩提樹」のメロディを思い出して、緑の庭園にロマンチックに立つ樹木を想像しましたが、実際には見たことがありませんでした。その頃、我家の近くの城跡の「馬場」と呼ばれる広場に、昔の風景を取り戻す植樹がありました。城が建てられた1700年代半ばに整備された並木と同じ菩提樹が、広場を囲むようにして植えられました。それから秋になり、冬を越して、春が来て、夏には、とても特徴のある花が咲きました。すると、同じ花が城跡の堀のほとりにも、歩道の並木にも、我家の庭の大木にも咲いているのに気付きました。これほど多くの菩提樹が街の至る所に、しかも自身の住む住宅地域内には樹齢を重ねた立派な大木が幾本もあるとは、全くの驚きでした。


城跡の菩提樹の並木
城跡の菩提樹の並木

私の住むヒョースホルムの街と周辺は、中世にはデンマーク王室の領地で、森は狩猟に利用されていました。狩猟期間に王室が滞在していた館は、やがて1700年代に夏の居城として建て替えられます。そのときに、城の周囲は庭園が造られて、並木には菩提樹が植えられました。ヨーロッパの広場や並木に見られる菩提樹は「西洋菩提樹」とも呼ばれる「西洋シナノキ」だそうです。シューベルトも同じ枝振りの樹木と同じ花を見ていたと思うと、菩提樹の花の香りに1800年代初めのウィーンが感じられそうです。


西洋菩提樹の花
西洋菩提樹の花

デンマークの国土は1800年代半ばまで、森林に覆われていました。王宮のあるコペンハーゲンより北の地方には大きな森が広がり、王室の狩猟場でした。1670年代に国王は、フランスで学んだ新しい狩りの手法を実践するために、狩り場を拡大し、森を整備しました。獲物を追いつめるために森のある地点から放射状に道を造り、国内外からの様々な種類の鹿を放しました。そのうちにはニホンジカもいて、子孫が現在も僅かながら残っています。


森の狩猟のための道
森の狩猟のための道
 
この獲物を追いつめる狩猟法は、デンマークでは1700年代には行われなくなり、20世紀には禁止になりました。1700年代後半には、国王の森は一般に公開されて、狩猟のために造られた道は、森を訪れる人々の散歩道になりました。やがて森の所有が国王から国へ移ると、首都圏に住む多くの人々が緑の憩いの場として訪れるようになりました。
 
今でも1600年代後半の追いつめ猟のために造られた放射状に配置された道が、コペンハーゲンの北の郊外の森に残っています。実は、近世のヨーロッパの歴史と文化の名残として貴重な存在なのだそうで、ユネスコの世界遺産のひとつに加えられることになりました。
 
我家の近くの、ヒョースホルムの城跡の周囲には元の大きな馬小屋が残っていて、狩猟のために造られた道の延長上に森があります。その森の一部は狩猟場になっていて、立ち入る場合の注意事項を記した札が立っています。森の奥には放射状に造られた道が残っていますが、残念ながら、この森は世界遺産にはなりませんでした。8本の道が集まる中心には、1700年代後半にデンマークの森の保護と整備に尽くした森林管理局長の墓があります。この森林管理局長を追悼して植えられた赤松の太い幹は、ブナの森を貫いて、どこまでも高く伸びています。ここでは誰に会うこともなく、緑の香りで満ちた静かな空間には、小鳥が枝から枝へ飛び交い、さえずる声が木立の間に美しく響くだけです。そして、木漏れ日に夏を感じました。


森の道

森の道
森林管理局長の墓
森林管理局長の墓狩猟場の立て札
狩猟場の立て札


投稿者:福田さん  カテゴリー:
2015年7月18日


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